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コラム

編集部
AFTER SUGIHARA SETSUZO KOTSUJI's AID TO JEWISH REFUGEES 命のバトンをつなぐ人々Part 6

2019-06-08


講演をする山田純大氏(左)。写真は、山田氏の著書『命のビザを繋いだ男ー小辻節三とユダヤ難民』


 寛容博物館で3月27日に開催された「After Sugihara Setsuzo Kotsuji's Aid to Jewish Refugees」(在ロサンゼルス総領事館、サイモン・ウィーゼンタール・センター、日米文化会館が共催)にて、俳優で『命のビザを繋いだ男ー小辻節三とユダヤ難民』の著者、山田純大氏とノートルダム清心女子大学教授の広瀬佳司氏が行った講演を振り返りながら、小辻の功績を紹介するパート6。
 生前の小辻を知っているラビ・マービン・トケイヤーに、遂にニューヨークで会った山田氏。ラビ・トケイヤーのユーモアたっぷりの歓迎に言葉を失ったが、小辻を知れば知るほど小辻という人物に惹かれていった。


 小辻アブラハム節三の本当の姿を追い求め、ニューヨークにいるラビ・マービン・トケイヤーを訪ねた山田純大氏は「小辻アブラハムは、実際にどういう人物なのでしょうか?」と質問した。

 小辻を実際に知る人々は少なくなり、ラビ・トケイヤーは貴重な証言者の一人だった。「小辻は、私たちにとってユダヤ人です。ヒーローではありません」と答えた。

 これには山田氏も当惑したようで「なんですって!それはどういう意味でしょうか?」と質問すると、ラビ・トケイヤーは「彼はヒーローではありません。スーパーヒーローですよ」と答えたそうだ。「これを聞いてホッとしたのを今も覚えています」と話した山田氏の心の内が容易に想像でき、講演の聴衆からも笑いが起きた。

 当時の日本とドイツは、1937年11月に日独防共協定を締結し、その後も1940年9月には日独伊三国同盟を締結するなど、関係は一層強固になっていった。

 1941年4月には、ナチス親衛隊大佐のヨーゼフ・マイジンガーが東京の駐日ドイツ大使館付警察武官兼親衛隊情報部代表として着任した。マイシンガーは、1940年、ポーランドのワルシャワでユダヤ人の大量虐殺を主導し、「ワルシャワの殺人鬼」と異名を取ったほど残虐な人物だった。

 このような人物が日本で反ユダヤ主義のキャンペーンを拡大し、日本の特別高等警察や憲兵隊とも連携して日本にいるユダヤ人への迫害を強化していった。1942年には日本の勢力下にあった上海を訪問すると、上海のユダヤ人を抹殺する3つの計画を日本軍に提案した。

①揚子江河口に強制収容所を作り、人体実験を行う。

②古い船にユダヤ人を乗せて沈める(または、漂流後に餓死させる)。

③上海郊外の岩塩の廃坑にて苦役をさせ、過労死させる。

 これに対して日本軍はナチスが行う迫害には加担しないと、この計画を実行しなかった。

 ナチスの日本政府への要求がますます激しくなる中、小辻は、普通では驚くような行動を起こした。

 「日本とドイツは同盟国だったにもかかわらず、小辻は日本政府に対して立ち上がり、ナチスドイツに反対してユダヤ人を守るために日本中を回り、講演を行いました。

 小辻は狂っていると、あなたは思いませんか?戦争の真っ只中ですよ。

 小辻の行為は非常に危険で、彼自身の命はいつも危険にさらされていました」と、ラビ・トケイヤーは山田氏に話した。

 戦時中の日本では厳しい言論統制が敷かれ、反政府的な思想や主義の言論をした者は「危険分子」とみなされ、特別高等警察などによって取り調べを受けた。捕まると、時には拷問のような取り調べもあったようで命を落とした者もいた。

 小辻のように自らの命さえも顧みず、個人的な利益も一切なく、無私無欲にひたすらユダヤ人を守るために行動した人は、他にいなかったのではないだろうか。

 「これが真の勇気というものです」と、ラビ・トケイヤーは山田氏に話した。


=Tomomi Kanemaru

 
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