編集部
KEIROとプロビデンス提携プログラム 「癒しケア」で自分に合ったプラン③-1
2019-02-09
従来の医療の隙間を補うケア
KEIROがプロビデンス・ヘルス・アンド・サービス(Providence Health & Services)と提携し、進行性の病などの深刻な病気を抱える日系アメリカ人と日本人高齢者に焦点を当てた緩和ケア・プログラム「癒しケア」が始まって、約1年半が経った。
しかし、新しいサービスとあって、どんな時にどんなサービスを利用できるのか、まだコミュニティの人々に知られていない。
そこで、今回は「癒しケア」チームの医師、八浪祐一・エドウィンさんに、医療サポートとしての「癒しケア」について、これまでのケースを基に具体的に語ってもらった。
「癒しケア」チームの八浪祐一・エドウィン 医師
自分の状態を正直に話すことは “文句”ではない
これまでに患者さんやご家族からいろいろなご質問、ご相談をいただきました。ある患者さんから、「かかっている医師から『食べないでください』と言われたので、ずっと我慢して食べていないけれど、お腹が空いたので、もう食べていいですか?」という質問をいただいたこともあります。
また、ある患者さんのケースでは、お孫さんから「おばあちゃんが痛い、痛いって言っています。どうしたらいいでしょうか?」とお電話をいただきました。私の経験から、この患者さんはヘルスケアのスタッフが来て「どうですか?」と聞かれるたびに、「大丈夫です」と答えているんだろうなと想像ができたので、「次にスタッフが来た時にはあなたが同席して、『おばあちゃんは痛いんです』って言ってあげてくださいね」とお孫さんに話しました。
高齢者には“痛みは我慢するものだ”と思っている方や“我慢した方が治るのは早い”と思っている方もいるようです。痛みは取れた方が治りも早いというデータも出ています。痛み止めは使いすぎるのは良くありませんが、痛みが取れると体が楽になって良いホルモンが出て、気持ちも落ち着いて食欲も出て、病気の過程も良くなります。だから患者さんには「痛みはちゃんと取りましょうね」と話します。
また、患者さんには「医師にはあまり言ってはいけない」というような傾向もあるように思います。
処方された薬を飲んで気分が悪くなった場合、「うまく説明できないけれど、この薬を飲んだら気分が悪いんです」と医師に話してください。もし患者さんが話してくれたら、医師は患者さんに「我慢できる程度ですか?」と尋ねますし、我慢できない程度でしたら「お薬を変えてみましょう」という会話が始まります。
アメリカでは言わなくても状況や希望を察するということはないので、患者さんが自分の正直な状態を話してくれないと、医師は対応ができません。「文句を言ってはいけない」とは考えないでください。自分の状態を正直に話すことは“文句”ではありません。
初めて患者さんにお会いする時には必ず薬を見せていただきます。「薬が大きすぎて飲めない」というご相談を時々いただきます。薬によっては小さいサイズがあるので、患者さんのご希望を主治医に連絡したケースもありました。特に、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病の患者さんは、飲み込む行為自体が辛かったり、薬を飲むのに抵抗したりするので、なるべく薬の数を少なくして、なるべく飲みやすい薬を、「癒しケア」チームの医師がカウンセリングします。
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※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

