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HALFMOON HIDE -マジックを通して心を動かす マジックは世界一のセラピー、人を幸せにする
 東京・銀座の伝説的マジックバー『Half Moon(ハーフムーン)』のオーナーマジシャンとして長年活躍してきたHIDE氏。目の前数十センチという至近距離で繰り広げるクロースアップマジックを武器に、多くの著名人やマジック愛好家を魅了してきた。今までメディア の露出は決して多くないものの、マジック界では「プロのマジシャンが見に行くマジシャン」として高い評価を受けてきた存在だ。
 HIDE氏の魅力は、単に高度な技術を披露することではない。驚きや笑い、感動、そしてロマンを織り交ぜ、観客一人ひとりに「自分だけの特別な時間」を届ける。そのスタイルから、Half Moonは「知っている人が、大切な人を連れて行く店」として、多くのファンに愛されてきた。
その世界観は日本だけにとどまらない。今年の3月と5月にハリウッドのマジックの殿堂『Magic Castle』にArtist in Residenceとして招かれ、Half Moonの世界観を展開し、活動の場を国際的に広げている。
 さらにこの5月、米国のThe Academy Magical Arts (AMA)から『The Performing Fellowship – Close-Up Magic』を授与された(写真)。認定証には『HALFMOON HIDE』と記されている。これは、長年にわたり磨き上げてきたクロースアップマジックと、観客の心を動かす表現力が、米国のマジック界でも認められた証といえる。
「マジックは人を幸せにする力がある」と語るHIDE氏。単なる芸を超え、人の心に寄り添うものへと変わった。「人を驚かせるのではなく、人を幸せにする――」
その信念の原点と、マジックに懸けてきた人生について聞いた。

――マジックの世界に入ったきっかけを教えてください。
僕はマジックの世界に入ったのが少し遅くて、30歳からなんです。それまでは歌ったり踊ったり、いろいろなことをやっていました。とにかく、みんなに喜んでもらうことが大好きだったんです。それでエンターテインメントの世界に入り、その中で「マジックも面白いな」と思って、見よう見まねで始めました。まさか、それから35年もマジックを続けることになるとは、当時は思ってもいませんでしたね。
――35年間、マジックを続けてきて、どんなことを学びましたか。
マジックをしながら、たくさんのお客様と出会い、いろいろなことを学ばせてもらいました。人には、それぞれ痛みや喜び、孤独など、さまざまなものがあります。たくさんの人と向き合う中で、そういう人の心に触れてきたんです。だから今は、マジックというものは、「世界一のセラピー」だと思っています。
――マジックで、お客様の心に変化が起きることもありますか。
僕は、目の前にいる人の心の扉を開いてあげて、そこに何かが届く瞬間を大切にしています。ステージを見て涙を流される方もいます。でも、それは僕のステージがすごいから、ということではないと思うんです。その人がもともと心の中に持っていたものと、ステージで感じたものが、ある瞬間に共鳴する。「自分が思っていたことは、これなんだ」と気づく。その思いが涙になって表れるんじゃないかなと思っています。
――マジックを通して、どんなものを届けたいのでしょうか。
世の中には、孤独や怖さ、いろいろなしがらみや苦しみを抱えている人がたくさんいます。だから、マジックを通して、少しでもそういうものから解放してあげたい。ショーを見た後に、「俺も明日頑張ろう」とか、「明日は女房に謝ろう」とか、「部下にもっと優しくしよう」と思ってもらえたらうれしいですね。そんなふうに、人の心を優しくして、心の中にあるものを溶かしてあげることができたらいいなと思っています。
――マジシャンとして、技術以外に大切にしていることは何でしょうか。
誠実であること。そして、真剣に向き合うこと。これに尽きますね。特にステージには、その人の生き様が出ると思うんです。頭の先から足の先まで、どんなふうに生きているかというものが、ステージに表れる。だから、毎日毎日、自分自身に対して正直でなければいけないと思っています。例えば、上司がこう言うから、本当は自分の意見を曲げてしまう。本当はしたくないのに、言われたからやってしまう。そういうことってありますよね。でも、いつも自分に正直でいることが大切なんです。心身ともに自分自身に正直であること。それを毎日続けていくことが、とても大切だと思っています。
――最後に、HIDEさんにとってマジックとは何でしょうか。
最初は、人に喜んでもらいたくて始めたマジックでした。でも35年間続けてきて、今ではそれ以上のものになりました。マジックを通して、人の痛みや喜び、孤独を知り、人の心に触れることができた。だから僕にとってマジックは、人を驚かせるためだけのものではありません。人の心を開き、その人の中にある優しさや本当の気持ちを引き出し、もう一度前を向くきっかけをつくるもの。それが、僕にとってのマジックなんだと思います。
 来年秋には、青山に完成予定のビル内で新たな店舗をオープンする予定。それまでの間は、現在の場所に茶室のような小さな「ラボ」を設け、限られた空間でマジックを追求しながら、新たなステージの開業を待つ。


@halfmoonhide_tokyomagic

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