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特集記事



JANMへ行こう!! vol.15 - 差別・不当な扱いを乗り越えた日系人の話を聞く
今月のガイド
ヤエ・アイハラ さん

ワシントン州タコマ生。真珠湾攻撃の直後にスパイ容疑をかけられた父親が逮捕され、「戦争捕虜」となる。アイダホ州ミネドカおよびテキサス州クリスタル・シティーの強制収容所を経験。現在は子供が4人、孫が11人。日系移民の歴史は次の世代に伝えるべき事実として、JANMにて日本語ガイドとして活躍している。



—アイハラさんのご家族は、アイダホ州の強制収容所で1年を過ごされた後、日本への帰国を考えたそうですね。

「私は幸運でした。アメリカ政府は『日本に移住するなら、収容所から出られる』と言ったの。そのため、1942年にニューヨークで父と再会して、家族で日本行きの船に乗る予定だった。そうしたら、多くのペルー人が日本行きの船に乗せられて、私たち家族は乗船できなくなったの。なぜだろうと思ったわ。その後、クリスタル・シティーの収容所だったら、家族全員が一緒に暮らすことができると知ったの。それで、クリスタル・シティー行きの列車に乗ったのよ」

—スパイ容疑でFBIに連行されたお父さんと無事に再会できて、本当に良かったですね。大勢のペルー人が、なぜ日本行きの船に乗船したのでしょうか。

「30年後に知ったのだけれど、あの時に見たペルー人は米国が“誘拐”してきた人たちだったの。つまり、戦争捕虜の身代わり。日本は、アジアの戦争でたくさんのアメリカ人兵士を捕虜にしたわ。一方、アメリカは日本人捕虜が足りなかった。だから、アメリカ兵士を解放するために、日本人に見える日系ペルー人2000人を政府取引で連れてきたのよ。そのうち700人が、私たちが乗る予定の船に乗せられたの。この交換船は、東インド洋のポルトガル管轄のゴアで、日本の船と落ち合い、捕虜の交換をしたのよ。けれどその交換船は、日本でなくて、どういうわけかシベリアへ向かったのよ。その人たちはシベリアで強制労働をさせられたの。とても悲しく恐ろしい話なの」

—シベリアでは多くの強制労働者が亡くなりました。全く関係もない、罪もないペルーの日系人の方を連れてきたなんて、ひどすぎます。戦争は、人間の理性さえ狂わせてしまう。クリスタル・シティーの強制収容所を出た後、ロサンゼルスに来られて、戦争直後、差別など随分大変な思いをされたそうですね。

「日系人女性で既婚者の人は学校の先生になれなかったの。信じられないことが法律で決められていたのよ。ある時は、友人とレストランに行ったら『JAPSにはサーブしない』って叫ばれた。とても辛かったわ。だから『二世同士』と言って、日系コミュニティーでお互い助け合い、団結を固めて生活の改善に励んだわ」


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もっと知ってJapanese American!
「日本人×日系人 フリートーク!②」

「日本人と日系人は、普段グループで話す機会がないのでは?」という理由から、若い世代の日本人2×日系人2でフリートークを行った。パート2。

杉本健太(トミー) ロサンゼルス市出身19歳、新二世、ミュージックビデオ監督/ラジオDJ。ロヨラマリマウント大学でフィルムプロダクションの勉強中。将来の夢は映画監督。
トミー「日本では自動販売機で中古のパンティを売ってるんだって!?」

エリカ「それは、たくさんあるわけじゃないと思う。(笑)でも日本には、ラブホテルがたくさんあるのは驚き…。二人はアメリカに来て、自由を感じる?」

キキ「アメリカはオープンな国だけど、自由っていわれても、その意味はまだよくわからないかな。文化に関しては日本の方が自由だと感じる」

トミー「日系人のことはどう思う?」

キキ「両方の言葉がわかるから、うらやましい」

シン「日系人もオープンマインドだけど、良くないと思うこともある。それは、シチュエーションによって、自分は日本人とか、日系人とか態度がコロコロ変わるところ。実は元カノのことだったんだけどね(苦笑)」


エリカ・マリコ・オルセン ローンデール市出身、HAPA新二世、2011年度二世ウィーククイーン。シンガー/パフォーミングアーツインストラクター。Tokyo Status のメンバーなど日本ポップカルチャー分野で活躍中。
★ 日本の言葉 ★

シン「カワイイ〜!とかヘンタイ!は別として、親から習った日本の言葉ってある?」

エリカ「ガマン、マジメ、モッタイナイっていう言葉を母親から教わった。それが日本の大切な精神を表すって始めはわからなかったけど、いつも善人であるための常識だってことはわかってた」

トミー「モッタイナイは、家で教わった。残さないで食べる。英語ではそれに近い言葉はないね。Don’t  be wasteful かRecycle?(笑)」

キキ「サウスダコタの高校に留学していた頃、お昼にランチを皆で食べたんだけど、食べ物の残りを、そのままみんな放ったらかしにしてたのには驚いた」

エリカ「私は食べ物は残さず食べて、余ったら冷蔵庫に入れて、次の日に食べるとかしていた。レストランでも残り物をそのままにするんじゃなくて、ボックスに入れてもらって帰ってる。何か悪いなと思うので」

シン「シカタガナイって言葉は?」

エリカ「アメリカでは、シカタガナイという意味の言葉はない。そういう考え方はしないし、いつも何か状況を変えることができるって考える」

Kiki Sukezane 日本で演技を学び、昨年夏に渡米。ハリウッドで歌や演技を勉強中。来年は子供むけのドラマが2本決定。
キキ「Never give up!ってこと?」

トミー「あえて言うなら、Shit Happens! そんな日もあるさ(笑)」

シン「でも、逆に言うと、一つのことにガマンできないってことでしょ?(笑)」


★ アイデンティティ ★

シン「自分のアイデンティティはどこにあると思う?」

トミー「自分は日本人って言うと仕事を得やすくなるからいいけど、誰かにあなたはどこの国から?と聞かれると、困ってしまう。だってアメリカ人だから。自分のアイデンティティを語るのは難しいけど、そんなに大きな問題じゃない。見た目は日本人だけど、両方の文化を知ってるから良いこともある。だから、時と場合による」

エリカ「私はアメリカ人だけど、今は日本人としての活動が多いから、もしあなたの文化背景は?って聞かれると日本って答える。日本人にはなれないけど、私は自分の日本文化を誇りに思うし、軽視されたくない。状況によるかな」

キキ「ってことはシンの元カノもそういう複雑な事情があったんだ。(笑)」

清水紳一郎(シン)2006年、俳優を目指し渡米。多数のTV、インディーズ映画に出演。出演作品はカンヌ映画祭でも上映される。舞台でも活躍。
シン「そういうオチですか今回は!」

エリカ「こういうふうにグループで話せることはないからすごい良かったね。なんだかスッキリした〜」

4人「また、話そうね」


写真・文 ALICE HAMA, JUNZO ARAI,   構成 TOMOMI KANEMARU, 監修 MITSUE WATANABE(JANM)


JANMに行くと日刊サン読者にプレゼント!

日刊サン読者にプレゼント!
入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、日系移民史ドキュメンタリー『知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人』のDVDを読者来館者に特別プレゼント。「感動のドキュメンタリー」と感想も続々。非売品なので、GETできるのはJANMだけ!お見逃しなく!
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。




JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。

100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)

★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
213-830-5645

2013/09/21 掲載

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