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特集記事



JANMへ行こう!! vol.63 - 強制収容ではなく自主退去を選んだ日系人家族たち②


今月のガイド
マス・マツモト さん

日系二世。第二次世界大戦中は、強制収容所には入れられず、家族と共に自主退去に応じて、ユタ州へ移動した。高校の教師を退職後に、JANMでボランティアを始める。教師経験のある他のボランティアたちと協力して、JANMでボランティアをする人たちのためのプログラムを作成する。




日系人部隊に感謝



ソルトレイクシティに自主退去した私たち家族は、到着後すぐに、カリフォルニアライセンスプレートを外した方がいいと、すでに現地で暮らしていた日系人から言われたので、兄は翌日にユタラインセンスプレートに交換してきました。多くの日系人が西海岸からきたことに、みんながとても敏感な時期でしたからね。またソルトレイクシティでは、戦前から日系人と白人の間でいい関係ができていて、西海岸から移動してきた私たちに、それを壊されたくはなかったのでしょう。
差別はそんなにはありませんでしたが、スクールバスが学校に到着すると、いじめっこの少年が兵隊ごっこを始めました。バスから降りた私たち日系人をまるで囚人かのように扱い、建物のまわりを行進させました。先生たちには見えない場所だったので、先生は気がつきませんでした。
ある晩には誰かが外から石を家の中に投げてきたこともありました。またある時は、買物にいくと、店員さんたちはずっとおしゃべりをしていて、私を無視しつづけました。だから買物はあきらめて、店から出ました。ほんの小さいことですけれどね。「知らん顔」してるの。アイダホには、「ジャップおことわり」というサインが店にあったと聞きましたが、ユタにはそんなサインはありませんでした。今はそんな体験をしませんが、戦時中はよくあったことです。

このような体験から私は注意深くなりましたし、何かがあった時は毅然と抗議をするのではなくて我慢するようにはなりました。
しかし、日系人部隊・第442連隊戦闘団(442)の戦時中に行った功績が、私のような若い日系二世、三世、将来の日系人たちの扉を開いてくれました。「失われた部隊」のテキサス大隊救出も含め、442のみなさんは本当に多くの犠牲を払いました。余談ですが、日系人がテキサスへ行くと丁重に扱われると聞いたことがあります。
JANMを通して、幾度も幾度も語り続けなければならないのは、442の日系人部隊がアメリカのために戦ったという事実です。多くの人たちがまだ知らないので語り継がなければなりません。

私的見解ですが、四世、五世たちは私たちと違い、「自分たちが成し遂げた」「成功したのは自分の成果だ」と思っているようです。しかし、成功できたのは442の日系兵士たちが扉を開けたからです。私の大学時代では、歯科や薬科にクォータ制が導入されていて、日系人の学生は5、6人が入学できました。これも、日系人兵士たちの功績のお陰だと私は思います。日系人部隊のみなさんへの私たちの感謝はまだまだ足りないと思っています。
終戦後は、中学生、高校と次第に差別やいじめはなくなりました。普通に戻ったかのようでした。クラブ活動も盛んで、誰でもクラブに入れました。時間はかかりましたが、人々は変わりました。私の考えですが、日系人部隊の活躍を見た人々が、日系人はアメリカに忠誠を誓う存在だと認識したからではないかと思っています。


JANMをプロモート



日系人部隊442所属の兵士だった故ダニエル・イノウエ上院議員(左)とマツモトさん
JANMが会館する以前から私はオプティミストクラブの活動に携わっていました。ある時、日米文化会館(JACCC)から協力を求められたので、JACCCへ行くとビル・シシマがいました。その時、ビルに「JANMに行ったことがあるか?」と聞かれて、私が「なんの博物館なの?」と答えたので、その後に二人でJANMへ歩いて行きました。これがJANMでボランティアをするきっかけです。
ビルは小学校、ハル・ケイミは中学校、私は高校の教師で、同じ頃にリタイヤしてJANMボランティアになりました。そこで私たちはJANMをさまざまな人々に知ってもらおうと、地域の学校や団体を尋ねて博物館のプロモートを行いました。学生たちにもぜひ博物館へ来てほしくて、スピーチもしました。しかし、いくら招待してもJANMへ行く手段がないのが問題でした。そこで、年に一度開かれるJANMのパーティーで、元442兵士だった故ダニエル・イノウエ上院議員が率先して、学生たちを招待するバスの費用をまかなう資金集めをしました。資金がどんどん集まり、博物館がバスを用意することで学校からの来館が増えました。
開館当初は、ガイドも少なかったので、私はほぼ毎日ボランティアガイドをしました。次第にボランティアグループが大きくなり、希望の曜日にボランティアできるようになりました。

プログラム作成は、JANMのスタッフと協力して行いました。スタッフのみなさんの働きがすばらしかったです!まずボランティアはスタッフから日系移民史の基礎知識を教えてもらいました。本なども借りました。その後は、私たちが学んだことを元にして、来館する子どもたちにも分かりやすい物語を作りました。最初は、私たちが教師みたいになってしまって、全然ダメでしたね。そこで、「もし、あなたがそこにいたら、どうしますか?」と子どもたちに質問しました。すると、僕だったら、私だったらこうするという意見が出てきました。子どもたちにも参加してもらうことが大切で、これが基本形です。

今日のような形になるまで、試行錯誤の連続でした。子どもたちがJANMを出る時に、「よかったね」「今日は何かを学んだね」というコメントを残せば、自分たちがやっていることは正しかったと思いますし、子供たちが注意散漫になった場合は何かが間違っているから改善しようとなります。こうやってプログラムはどんどん進化したのです。
私は、JANMは声を発信しなければならないと考えます。例えば911が起きた時、 テロリストがイスラム教徒だったので、イスラム教徒全員がテロリストだという風潮が社会を覆いました。このことにJANMは強いステートメントを発信しました。かつて日系人が経験した強制収容は二度と起きてはなりません。JANMは、毅然とした態度で、過去に起きたことを人々に思い起こさせる責任があると、私は思っています。

写真・文・構成 Tomomi Kanemaru(日刊サン)


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JANMに行くと日刊サン読者にプレゼント!

入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、『ワシントンへの道 ~米国日系社会の先駆者 ダニエル・イノウエ議員の軌跡 ~』と『知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人』の2つの日系移民史ドキュメンタリーが入ったDVDを特別プレゼント。昨年末に亡くなった大統領継承順位第3位のイノウエ議員のインタビュー入り。非売品なので貴重なDVD!
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。




JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。

100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)

★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
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