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特集記事



JANMへ行こう!! vol.56 - 誰が、戦後のアジア系アメリカ人の生活を好転させたのか?


今月のガイド
フランシス・イトウ さん

ハワイ出身の中国系アメリカ人三世。現在はVisual Communicationsでショートフィルムを学ぶ。9作目の『HELLO KITTY AND HER FANS』は2015 LA Asian Pacific Film Festivalの出展作品で、4月26日午後2時30分からJANMで上映される。



― イトウさんが、JANMでボランティアを始めたきっかけをお聞かせください。

私は、ハワイ出身の中国系アメリカ人三世です。主人はロサンゼルス出身の日系アメリカ人二世でした。JANMとのおつきあいは博物館が開館する前からで、私たち夫婦がJANMへ寄付をした時から始まりました。もう25年くらい経ったでしょうか。私はリタイヤする前にJANMの展覧会にきたのですが、その時に強制収容所の展示物にとても興味を持ちました。そこでJANMのボテンティアトレーニングを受けて、ボランティアになりました。

— イトウさんは、中国系アメリカ人の博物館でもボランティアをされていますか。

いいえ、していません。寄付や特定のイベントに参加するなどはしていますが、いわゆるサポーターです。

私は中国系コミュニティより日系コミュニティでの活動の方が多いんですよ。私の主人は日系人でしたから、私は中国人のことより日本人のことをよく知っています(笑)。小さい頃の友人も日系人でしたよ。今の私はアジア人というよりはアメリカ人ですが、私の日系人の友人は「あなたは日本人ね」と言います(笑)。私にはよく分かりませんが、彼女より私の方が日本人の性格なんですって(笑)。


― 自分の出身地に関連のあるコミュニティと親しくなりがちかと思いましたが、人それぞれなんですね。イトウさんの幼少の頃のお話をお聞かせください。

私はオアフ島に住んでいたので、1941年12月7日の真珠湾攻撃を知っています。あの日、私は教会へ行こうとしていました。すると、日本軍の飛行機が真珠湾に爆弾を落としました。近所の人が「戦争だ。見なかったの?子供は家に帰りなさい」と叫びました。あの時、私はまだ9歳だったので“戦争”が何なのか全く分かりませんでした。日本軍の飛行機は、真珠湾のアメリカ軍基地を爆撃してもただちに引き上げず、他の場所も爆撃しました。その後、ハワイに厳戒令がひかれました。

― 真珠湾攻撃は中国系アメリカ人にどんな影響がありましたか。

ハワイとアメリカ本土では、影響が違いました。ハワイには多くのアジア人が暮らしていたので、人々は、日本人・日系人と中国人・中国系アメリカ人を見分けることができました。しかし、アメリカ本土では、多くのアメリカ人が日本人と他のアジア人を見分けることができず、全てのアジア人を日本人だと思ってしまいがちでした。排日運動がひどかったので本土の中国系アメリカ人は「私は中国人です」という名札をつけて生活しました。しかしハワイでは、このようなことはなかったです。

― その土地で自分がマジョリティまたはマイノリティに入るか、多様な人種が暮しているか、異文化同士が共存しているかなど、どのような環境におかれるかで差別問題は大きく変ってきます。イトウさんのご主人についてお聞かせください。

第二次世界大戦中、主人は家族と一緒にハートマウンテンの収容所に送られました。彼は流暢な日本語を話したのでアメリカ軍に徴兵されて、東京裁判で通訳をするためにMISとして日本に駐屯しました。懲役が終わると、GIビルでUSC工学部に入学してエンジニアになりました。
戦後、日系人を含むアジア系の人々が就職できたのは、エンジニアの仕事でした。私の兄弟も主人の兄弟も全員エンジニアでした。人種差別が当然のごとくある時代で、日系人だろうが中国系だろうが韓国系だろうが、アジア系という同じ“パッケージ”に入れられて差別されました。
しかし、戦中の日系人部隊第442連隊戦闘団(以下、442)の兵士たちの活躍により、戦後はアジア系の人々の雇用そして住宅、教育などにおいて大きな変化がもたらされました。これはとても大切なことです。しかし若者の多くはこのことを認識していません。アメリカに住むアジア系アメリカ人もアジア人も、彼らの功績の恩恵に与っているんですよ。


—私は人種や肌の色で判断や差別されない環境は当然だと思っていました。しかし、JANMでボランティアのみなさんのお話をうかがって、この環境は日系人を含めたアメリカ人たちの努力の賜物だったと知ることができました。

ハートマウンテン・インタープリティブ・センターの開館式に参加したJANM関係者とボランティアたち。ノーマン・ミネタ元米国運輸長官(前列右から3人目)はハートマウンテンに収容された経験がある。ダニエル・イノウエ上院議員(前列左から4人目)も夫人の初代JANMCEOのアイリーン・ヒラノ・イノウエ氏(前列左から3人目)と出席した。(Photo by Janet Reed-Bradley)
私は1950年にハワイからロサンゼルスへ移り、仕事場で主人と出会い、1952年に結婚しました。それ以来、442や日系退役軍人のイベントにはできるだけ参加して支援しています。けれど主人の兄弟たちはJANMでボランティアもしないし、日系史にはあまり関心がないようです。2011年に第二次世界大戦で戦った日系人部隊の第100歩兵大隊と442、MISの元兵士たちに、アメリカでの最高勲章の一つ「議会金メダル」が授与されました。主人がMISだったにもかかわらず、主人の家族は授与式には出席しませんでした。とても興味深いでしょう? 彼らは大変だった時のことをもう思い出したくはないんですよ。

戦前に義父はハリウッドにお店を経営していましたが、強制収容されることになり、お店も家もすべてを失いました。収容所から解放されてロサンゼルスに戻り、何もないところから再出発しました。義父は庭師になりアパートを買い、車を買いました。私にとって、これはすごいことです!


— 収容された経験は辛すぎるから、または恥ずかしいから思い出したくない、語りたくないという日系人の方々は多いそうです。だからJANMの存在は大切だと思います。イトウさんは、ハートマウンテンのドキュメンタリーフィルムを撮ったそうですね。

ハートマウンテンの収容所跡に歴史を伝えるハートマウンテン・インタープリティブ・センターが2011年に開館しました。式典にJANNのボランティア仲間と出席しました。私は2009年から映画を撮り始めていたので、この旅を5分のドキュメンタリーにしました。タイトルは『ハートマウンテン』でテーマは奉納です。制作後は、センターに寄付しました。


写真・文・構成 Tomomi Kanemaru(日刊サン)


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入館料お支払いの際に「日刊サン掲載の『JANMへ行こう!!』を読んだ」と言うと、『ワシントンへの道 ~米国日系社会の先駆者 ダニエル・イノウエ議員の軌跡 ~』と『知られざる政治家 ラルフ・カーとニッポン人』の2つの日系移民史ドキュメンタリーが入ったDVDを特別プレゼント。昨年末に亡くなった大統領継承順位第3位のイノウエ議員のインタビュー入り。非売品なので貴重なDVD!
*入館料をお支払いの上、入館された方のみ対象。




JANM・ジャニム(全米日系人博物館)
Japanese American National Museum
日系アメリカ人の歴史と体験を伝えるアメリカ初の博物館。アメリカの人種と文化の多様性に対する理解と感謝の気持ちを高めることが目的。ボランティア・ガイドに支えられ、訪問者は展示にはない興味深い話を聞くことができる。

100 N. Central Ave. Los Angeles, CA
・213-625-0414
http://www.janm.org
開館:火・水/金・土・日 11:00 ~17:00
木 12:00 ~20:00
休み:月曜
料金(企画展も含む):一般9ドル、シニア&学生&子供5ドル、メンバー無料
*木曜17:00 ~20:00、毎月第3木曜は無料
交通:メトロ電車:ゴールドライン「Little Tokyo / Art District」下車。徒歩1分
駐車場:あり。博物館前、他多数(有料)

★「ボランティア・ガイド」に関心のある方は、下記まで。
213-830-5645

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