編集部
KEIROとプロビデンス提携プログラム 「癒しケア」で自分にあったプラン ② - 3
2019-02-02
アドバンス ディレクティブ(事前指示書)の作成をサポート
ガンと診断されて、これから先どうしたらいいのか途方に暮れている、どのような治療をすればいいのか迷っている、または、新しい治療を勧められて迷っている、このような患者さんからご相談をいただきます。
患者さんの病気のステージはさまざまです。診断されたばかりの時こそ助けが必要で、「癒しケア」チームは、患者さんがガンについて理解することもお手伝いします。また今後の治療法を決めていく時のお手伝いなども含めて、病気を宣告されたばかりの時の緩和ケアは役に立つと思います。また、末期には痛みや症状が進行するので、痛みや症状が酷い時には緩和するサポートもします。
この他に、アドバンスディレクティブ(事前指示書)の書類を作成するサポートや家族との話し合いのサポートもします。
*アドバンスディレクティブとは、患者さんが、将来自らが判断能力を失った時に、自分に行われる医療行為に対する意向を前もって意思表示することと定義されている。
アドバンスディレクティブを作成していらっしゃらない方は多くて、高齢者に限らず成人したら作成しておいた方がいいと言われる書類です。患者さんやご家族には、アドバンスディレクティブの必要性を説明します。
書類には、次のような項目が含まれています。例を挙げます。
・この先、どのような治療を受けたいですか?
・何かの時は、施設に入居してもいいと考えていますか?自宅にいることを希望しますか?
・最後の時に、延命治療を望んでいますか?または、望んでいませんか?
・あなたにとって、何が大切ですか?
例えば、患者さんが、来年に予定されている子供(孫)の結婚式への出席を望んでいて、出席できる状態の場合、「癒しケア」チームはそのためのサポートします。または、患者さんの状態では出席するのが難しい場合、患者さんに状態を話して、代わりにどんなことができるかを話し合います。患者さんの将来の計画についてサポートさせていただきます。
アドバンスディレクティブには決めておく項目が書かれていますが、危険性については書かれていません。例えば、心肺蘇生法をした場合の危険性、胃ろうカーテルを挿入した場合の危険性などについて説明をして、その上で患者さんとご家族にご希望を伺います。特に高齢者の場合には、大きな負担がかかって危険性がさらに高まる場合もあります。
医療行為に関するアドバンスディレクティブは、ご自分で作成することができます。弁護士のサインは必要ありませんが、ノータリーのサイン、または家族・親族以外の二人の証人によるサインが必要です。
日本人や日系アメリカ人の方は、「言わなくても、子供は分かっているだろう」と、子供に期待する部分があります。親御さんの治療を決断しなければならない子供は「母(父)は、どうしてほしいだろうか?」と悩みます。
特に兄弟姉妹がいる場合は、兄は母親に延命治療をして欲しくないと思ったとしても、弟は延命治療をして欲しいと思うかもしれず、意見が対立して、病室で無駄な諍いが起きる可能性もあります。
そこで、特にご家族が多い場合は、何かがあった時に親御さんは「こうしてほしい」「代わりに誰々さんに話をして欲しい」という書類を作成しておくことを勧めています。
また、お子さんが一人の場合は、子供が全部決めてくれるからと、このような話を全くしないご家族もいるので、「癒しケア」チームから、ご家族にご提案をさせていただいています。
「癒しケア」について
「癒しケア」サービスは、日本語、または、英語で受けることができます。まず、KEIROにご連絡ください。電話相談は無料です。主治医のリファーラル(紹介状)は必要ありません。
電話の受付時間:月〜金 9:00-17:00
電話: 213-873-5791
メール: programs@keiro.org
対象: 日本語/英語を話す日本人高齢者、日系アメリカ人高齢者、その家族。
◆「癒しケア」サービスを受けるまでの流れ◆
①クライアントが、KEIROに電話する。最初、KEIROスタッフは英語を話すが、「Japanese Please」と言えば、日本語を話すスタッフが対応する。
②クライアントは、KEIROスタッフに、病状、状況などを話す。
③KEIROスタッフが、「癒しケア」チームに、クライアントからの話を報告する。
④「癒しケア」チームが、クライアントに、電話で連絡し、さらに詳しい話を聴く。
⑤クライアントが「癒しケア」サービス対象とみなされた場合、主治医にリファーラル(紹介状)を依頼する。
⑥主治医は「癒しケア」チームに、クライアントのリファーラルを提出する。
⑦「癒しケア」チームは、クライアントに、リファーラルを受理したことを伝え、この時点から、クライアントは、「癒しケア」サービスを受け始める。
ウェブサイト:Kerio 「癒しケア」
文・構成 金丸智美
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※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

