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コラム

ピアノの道
vol.127 なんで音楽?

2024-04-19

 演奏会は共同制作—これが私の信条です。

 まず時間を超越した協力があります。一緒に音楽を愛でるという人間の慣習や伝統。ピアノという楽器の発明と発展に関わった人々。作曲家を育んだ時代と音楽教育。演奏会場にある楽器の製作とメンテに携わった人々。私というピアニストの音楽観や演奏技術を育むのに関わった多くの人々やそれを可能にした社会。

 次にその日その場での協力があります。全く同じ条件で同じ曲を演奏しても、お客様が違うと演奏は不思議なくらい変わります。拍手の調子やお客様の表情・息遣い・体温・匂い…そういったものの調合が音楽に反映され、会場一人ひとりの発する「気」が壇上の奏者に働きかけるのです。ライブの醍醐味です。

 ライブならではの音楽を通じた交流を出来るだけ積極的に楽しんで頂きたくて、聴衆参加の工夫をいつもします。音楽に合わせて呼吸して頂いたり、曲に使われるリズムを一緒に手拍子してみたり、発声して頂いたり…質疑応答もいつも行います。

 「なんでラヴェルはこの曲を書いたの?」先週の土曜日の演奏会ではお父さんのお膝に座った5歳位の子が伸びあがるように手を挙げて聞いてきました。

 「なんでだろうねえ。」5歳児の世界観を想像しながら言ってみます。「例えば誰かにプレゼントをもらってすごく嬉しかったらママに言いたいでしょ。嬉しい気持ちや悲しい気持ちをシェアしたい―これはみんな感じるんだと思うな。シェアしたい気持ちが特に強い人が曲やお話や絵を書いたり、ピアノを弾いたり踊ったりするんじゃないかな。ラヴェルは背が低くてシャイだったんだって。だから言葉で言うより音楽に書いたほうが簡単にシェアできたのかもしれないね。」

 「うん…そうか。分かった!」

 納得と共感と(可愛い!)の笑い声がさざなみのように会場に広がります。交流の至福のひと時です。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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