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コラム

ピアノの道
vol.118 一緒の勇気

2023-12-01

「If you want to go fast, go alone; If you want to go far, go together. (早く行くなら一人で行け;遠くに行くならみんなで行け)」有名な格言です。
 
ピアノは基本的に一人で完結する楽器です。独奏曲は無限にありますし、交響曲・ジャズバンド・合唱曲…なんでも編曲で独奏できます。他の楽器は幼児や初心者でもピアノと合奏したり、子供や愛好家のための交響楽団も沢山ありますが、ピアノはせいぜい先生との連弾のみ。幼少時から一人で練習する時間が多い楽器です。
 
音楽学生時代、私は世界から隠れるように朝から晩まで練習していました。摩天楼の音楽学校の練習室はグランドピアノがギリギリ入る物置の様な部屋。扉についた細長いのぞき窓が部屋にある唯一の窓。その監獄のような扉は防音のため厚くて重く、満身込めて開け閉めしなければトイレにも行けません。ピアノを置けるアパートの家賃が払えず毎日学校で練習することを不便に感じて十数年過ごしましたが、今振り返るとあれで救われていた部分もあるのでしょう。毎朝否応なく家を出て朝日を浴び、地下鉄に乗って人間観察をし、そして学校では挨拶を交わす警備員さんや学友たちがいました。防音処置がしてあってもかすかに右隣からショパン。左隣からバッハ。聞こえてくる音楽仲間の練習に励まされたり負けん気を起こしたりして、毎日修行を重ねました。
 
最近執筆の仕事が増え、一日中書きまくる日も増えました。下手すると一日中屋内に座り込んでカタカタカタ…(これはいかん!)一念発起して全国の物書きが各地で集う「Shut Up & Write」の近所の会に登録しました。一週間に一回有志でカフェに集まり、その日の目標を発表しあった後ただ一緒に座って一時間書く、というだけのグループです。でも週一で隣り合わせで各々書いていると連帯感も生まれ、そして勇気と元気を交換できるのです。
 
 そういえば昔の練習仲間たちはみんな元気かなあ。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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