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コラム

ピアノの道
vol.14 日本でする演奏活動

2019-07-31

「If everything was perfect, you would never learn, and you would never grow(全てが理想的な状況の中では、学びも成長もあり得ない。)」Beyoncéの言葉です。
今年で19年目になる日本での活動のため3週間ほどの帰国中にこの記事を書いています。日本は湿度が高い!じっとしていても汗が体中を覆います。自分にこんなに汗腺があったんだ、とびっくりするくらいです。
水分を含んだ重い空気の中で音波は上手く飛べません。秋晴れの青空の下では気持ちよく響く音も、湿度が高いと何となくもっさりしてしまいます。さらに西洋楽器は比較的湿度の低いヨーロッパの天候を想定してデザインされています。例えばピアノと言う楽器は木材と金属とフェルトが主な材料です。それぞれが湿度や温度の変化に違った反応をします。音程が狂い、メカニズムにずれが生じます。例えば、弦を叩くハンマーの周りにはフェルトが巻かれていますが、これが湿度を含むと膨張して、極端な例では、お互いに触れ合い摩擦をおこしたりします。湿度が高い時、ピアノの鍵盤が重くなる一因です。

それでも演奏は喜びです。いや、むしろチャレンジが在るからこそ、演奏や音楽がより大きな喜びをもたらしてくれるのかも知れません。今年の私のプログラムは「ピアノに聴く水」。ベートーヴェンからラヴェルまで、様々な作曲家が水に反映する月の光や、小川の流れ、水しぶきや、噴水がキラキラ光る様などをそれぞれ描写しています。湿度があるから、リズムの躍動感をより強調してみよう。高音をより勢いよくきらきら弾いてみよう。敢えて多めに「間」を取ろう。与えられた状況の中で、どうやってベストを尽くすか…この意気込みも奏者の心得だと思っています。そして、こういう工夫が時として新しい解釈や自分の成長につながったりするんです。

水を描写する曲の数々に触れて少しでも涼しくなっていただければ…と思いながら準備した演奏会で、お客様がほおお~っと演奏の後にため息をついたり、笑顔で拍手をしてくださると、汗も湿度も忘れてしまいます。音楽って本当に凄いんです!

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。
https://musicalmakiko.com/en/?p=1166


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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