編集部
◆インタビュー連載◆03 西本敬一JETROロサンゼルス 事務所所長
2017-01-31
西本敬一日本貿易振興機構(以下、JETRO)ロサンゼルス事務所所長に、ロサンゼルスでのJETROの展開やプライベートでのライフワークについて聞いた。
(金丸智美)
自分たちにとって幸せと何か
―経済大国から幸せ大国へ移行しなければならない時期はいつだったのでしょうか。
所長 私はある時期、図書館に通って戦後の経済白書をポイントだけですが全て読んだことがあります。どのように日本が経済を追求していったかが分かりました。
日本が成熟した国にならなければならないという時が1970年でした。
これまでは猛烈に働いて日本の立て直しに頑張ってきました。「アメリカみたいになりたい」とか目指すものが明確でした。しかし、オリンピック、万博も終り、「さあ、日本はこれからどこを目指していくのか」と目標を見失った。
当時の新聞の社説は「幸せな国を目指すべきじゃないか」という論調になっていました。創造する立場になり、どういう生活をすることが自分たちにとって幸せなのかを突きつけられました。
1973年まではいろいろな模索があったのに、石油ショックで再び経済大国邁進路線に戻ってしまった。何のために働いているのか分からないけれど、再び猛烈に働きだして、バブルに繋がっていきました。
バブルが破裂する前に、不動産や名画を買うことより、人間の幸せになること・教育に投資する選択もあったはずです。しかし、「何をしようか」と考えようとした矢先にバブルが破裂して、またドーンと落ちてしまった。
さすがに懲りて「経済だけやっていてはいかん!」となりましたが、中途半端で、目指すものも見えない、猛烈にも働けない。20年が経ってしまいました。
しかし世界3位に落ちたとは言え、日本はフロントランナーです。質の高い人材を持っている日本が、どのような国になるのかを真剣に考えること以外に日本の将来はありません。
私は地方創生も一つのチャレンジだと思います。
(つづく)
【西本敬一所長】1988年にJETRO入会。2003年は財団法人世界平和研究所に主任研究員と出向。2006年にはジェトロニューヨークセンター次長(事業担当)。JETROのウイーン、ハノーバー、熊本、岐阜にも勤務。その他に宮崎県グローバル戦略アドバイザー、岐阜県高山市海外戦略アドバイザーを兼任。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。