編集部
◆インタビュー連載◆01 西本敬一JETROロサンゼルス 事務所所長
2017-01-27
昨年に着任した西本敬一日本貿易振興機構(以下、JETRO)ロサンゼルス事務所所長に、ロサンゼルスでのJETROの展開やプライベートでのライフワークについて聞いた。 (金丸智美)
日本貿易振興機構にてインタビューに応じる西本敬一ロサンゼルス事務所所長
―西本所長は、日本貿易振興機構(2003年に日本貿易振興会から改名)に入られてから、日本国内は熊本県、岐阜県、海外はウィーン、ハノーバー、ニューヨークで勤務されました。この間にお気づきになったことは何でしょうか。
所長 もう20年以上前になりますが、ウィーンで、日本人スタッフと現地スタッフが話をしていた時、日本人スタッフが日本の嫌なところばかりを話していたことがありました。本人は謙遜してのことでしたが、現地スタッフはこれを聞いて、「そんな所なら日本に行くのをやめよう」という気持ちになりました。
ウィーンは伝統があり、歴史が長いので自国愛が強く、自国を悪く言うことはほとんどありません。このやりとりから、私は「おや?」と疑問が生まれました。
2010年にニューヨークから岐阜県に異動になった時、岐阜県の皆さんと話していると、「岐阜県より東京が良くて、東京よりニューヨークが更に良い」というイメージを持っていらっしゃるのを感じました。自分自身では経験していないのに、まるで刷り込まれたかのようで、「これはおかしいな」と私は思いました。そこで岐阜の方々にその根拠を尋ねると、驚いたことに、あまり根拠がないんですよ!
私は東京生まれの東京育ちなので自然を欲していました。岐阜に異動になったので、多少家賃が高くても山が見える場所に住みたいと考えました。そこで、ニューヨークから岐阜の不動産屋に電話をしたところ、「どこからでも山は見えますよ」という返事が返ってきました!
私のような都会育ちは自然に触れ合えることがどんなに幸せなことか、日の光が当たることにどんなに価値があるかを知っています。「都会人は、地方の人が持っている幸せを得るために、すごいお金と努力が必要」と、岐阜の方々に話したら、ご自身の地元を見直してくれました。
このような体験から、郷土愛が重要だと思いました。
(つづく)
【西本敬一所長】1988年にJETRO入会。2003年は財団法人世界平和研究所に主任研究員と出向。2006年にはジェトロニューヨークセンター次長(事業担当)。JETROのウイーン、ハノーバー、熊本、岐阜にも勤務。その他に宮崎県グローバル戦略アドバイザー、岐阜県高山市海外戦略アドバイザーを兼任。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。