JERCの教育相談Q&A
vol2 少ない時間で、日本語での勉強をどのようにさせればよいのでしょうか
2016-03-08
Q：4年生になって現地校の宿題も多くなり、日本語での勉強をする時間が取り難くなっています。少ない時間で、日本語での勉強をどのようにさせればよいのでしょうか。
A：４年生という学年は、現地校でも日本の学校でも、基礎的な学習に加え応用が出てくること、そして内容も深くなり一段と難しくなる学年です。そうすると補習校や塾で日本語による学習を受けている子ども達は、そこで出される宿題に悩まされ始めます。
正規に教育を受けている学校の学習が最優先ですから、先ず現地校の予習、復習、宿題はしなければなりませんので、その間を縫って日本語の学習に対応していくことになります。
①日本語の学習は効率的に！
現地校に通っている子どもは、英語での勉強をサポートする母語の力が必要である、と考えてください。要するに、母語である日本語力が英語での学習の後押しをすることから、『国語』の学習は必須であるといえます。
読解力、作文力がある子どもは、その力を英語学習に役立てることができます。日本語で読む力、書く力がある子どもは、英語のReadingやwriting の成績も良い方ですし、他の教科にもよい影響が出ています。母語で学力を付けておくことの重要性が、お分かりいただけると思います。母語の柱が確立されていること、そのことこそ、第二言語で学習していくことができる条件ですね。
海外に於いて現地校で教育を受けている子どもは、多くの日本の教科を学ぶ必要はなく、基本である国語はもちろんのこと、現地校で役に立つであろう算数、この二教科を学んでいればよいと考えます。日本でも、大切な教科は「1に国語、2に国語、３，４がなくて５に算数」と言われており、国語の大切さが分かる言葉です。
②時間の使い方は上手ですか？
時間の使い方が上手な子どもは、集中力があります。この集中力が、1日の生活にメリハリを付け、ダラダラした時間を過ごさず、要領よく対応できるわけです。
1日２４時間をどのように配分するのか、ここが同じ勉強の量を抱えていても対応できる子と、できない子の違いとして表れます。例えば現地校の宿題を終えたならば、すぐに日本語の宿題に取り掛かり、残った分は明日へ。現地校の勉強が多く、平日にできなければ週末にまとめてする等、自分で1週間の配分を考えることが大切です。
成績の良い子どもは抜群の集中力に加え、実に要領よく時間を使います。「現地校の宿題が多くて、国語の宿題ができなかった」という子どもは、週末、どのように過ごしていたの？と聞きたいですね。楽な方へ流れようとするのが子どもですから、ご家庭で、保護者の方が“家庭のルール”を作りましょう。例えば食事の前３０分は、国語の勉強、または日曜日の午前中、1時間は日本語の宿題を済ますこと等々、ルールを作り、子どもに習慣付けることです。
本を読む時間も、決めておかなければなかなか読みません。学校に行く前の２０分は本を読む時間、と決めておくのもよいでしょう。
現地校で教育を受けながら日本語での勉強をこなしていくのは、たいへんな作業であると云えます。漢字力、読解力、作文力、そして読書に特化した学習方法で、少ない時間を効率よく学べるように考えてみて下さい。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
教育アドバイザー
