今月の庭仕事
Lesson 142 旱魃のなかでの野菜作り、どうするの?
2015-06-24
レッスン140に続いて、今私たちが直面している旱魃(かんばつ)について、少し角度を変えて話します。植物の種類や植え方を見ていきましょう。
最近、乾燥に強い植物を用いた庭の作り替えが、盛んに奨励されています。
植物はどのようにして雨の少ない状態に適応しているのでしょうか。
まず最初に浮かんでくるのが砂漠に生えているサボテンです。これらは雨の降るときに水分を取り入れ、それを逃がさないように葉を退化させ、トゲになっています。根も驚くほど小さいですが、それだけで、空気と土地が乾燥して熱く、風のある地域で生きています。
サボテンとは反対に種から芽を出すと、ものすごく長い根を下ろし水分を追いかける植物もあります。この長い根を下ろす現象は、水はけの良い砂地の海岸や砂漠でよく見かけられ、移植しようとしても根が切れてしまうので無理があります。
では、家庭菜園ではどのような対策が可能でしょうか。作られる野菜もいろいろですが、水の節約になるような基本的な条件を見ていきましょう。
サボテンみたいな野菜はありませんが、根が深く伸びる野菜にごぼうや大根があります。最初のうちは十分な水をあげなければなりませんが、成長するに従って潅水の間隔を減らすことができます。ニンジンもこの部類に入るでしょう。例外的なのが山芋で、水分と栄養を取り入れる根は浅いので、気をつけましょう。食用になる部分は根ではなく芋の貯蔵庫です。
次に水分の蒸発についてです。蒸発は地表から始まるので、地面から深くなればなるほど、保たれる水分が多くなります。これを利用して深い所に野菜を植えます。私がよくするのは、大きなプラスチックの植木鉢を横半分くらいに切って地面に埋めて、その中にあまり葉が大きく広がらないきゅうり、ナス、トマトなどを植えます。植える穴の表面は3インチから4インチで、鉢の周りの表面より低くなります。これを利用する時は、しっかりした水はけの対策が必要なのは言うまでもありません。
余談ですが、植木鉢を切らず、底だけに20ほどの排水用の穴を開けると連作障害の予防にもなるようです。今回とレッスン140の内容を組み合わせて。少しでも水の節約を達成しましょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。