今月の庭仕事
Lesson118 野菜作りの温度について
2014-06-25
どんな植物でもそうですが、その植物が持ってる性質、または、可能性を引き出すには、ある温度の範囲内で育てなければなりません。自然に育てる場合、ある一定の温度内で発芽から終わりまでできるように仕組まれています。私達が作る野菜もそのままにしておくと、終わりにはこぼれ種になり、次の年にある温度と水分があれば発芽します。
この現象は、カリフォルニアの州花であるポピィーやルーピンなどが毎年繰り返すドラマです。もちろん、雨の少ない年、つまり地面に水分が少ないと、これは上手く循環しません。
ところが、そこに人間が絡んでくると自然の状態よりも、早く、大きく、美味しく作りたいという欲が湧いてきます。
そこで自然よりも少し温度を高くできるビニールハウスや温室などを利用して外より早く発芽させます。ここで注意しなければならない大きな点は、そこでの温度が高くなりすぎないようにすることです。
高くなりすぎると早く芽は出ますが、出てくる苗は、えてして伸びすぎてひ弱な感じになります。ビニールハウスや温室でも、その中の場所によっても温度が違ってきます。天井を高くすると温度の低い空気は苗床の辺りになり、温度の高い空気は上の方にかたまります。余談になりますが、蘭を育てる温室では、その温度の違いに合わせて種類を選びます。
もちろん野菜作りにおいては、温度の低い状態で育てなければならない場合もあります。その一つが体質的に涼しい温度を好むものです。カリフォルニアの海岸沿いでできる農産物です。例として、レタス、いちご、セロリ、レモンなどです。
ついでながら暑いところでできるのが、ナツメヤシ、グレープフルーツ、ぶどうなどです。そうしてもう一つのタイプが、季節による涼しさを求めるものです。大体、9月に種をまくのが主なもので、大根、白菜、カブ、サヤエンドウ、キャベツなどがそれに入ります。
このような事実を頭の中に入れながらやると、野菜作りも少しは楽になるでしょう。
■今回のコラムニスト:南加庭園業連盟会員の白澤まことさん。連盟主催の野菜セミナーで講師を務める。NTB「チャレンジ・ザ・ガーデニング」出演の経歴もあり。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。