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コラム

苦楽歳時記
vol102 奇跡の人

2014-06-26

 本日、六月二十七日はヘレン・ケラーの誕生日。一八八〇年アラバマ州カスタンビアで生まれた。彼女は生後十九ヶ月で、熱病のために聴力、視力、言葉を失った。

 「貧乏に耐えるだけではなく、それを愛するのが超人である」と述べたのはニーチェだが、まさしくヘレン・ケラーはそのものである。自分の苦難に満ちた人生を愛した超人こと、『奇跡の人』であった。

 六歳のときからサリバン女史に言葉を理解して、伝達することを教えられた。また、ブルックス僧正によって神の愛を知り、神は私たちの父であり、私たちは神の子であることを確信していた。

 デカルトの「われ思う。ゆえにわれ在り」の言葉に出会い、人生に開眼したことを次のように述べている。「絶対はひとえに所有しおくべきものではなく、幸福を創り出す手段でもあることを知りました。私は自分の小さな、限られた離れた小島におおしくも立ち上がって、暗礁で、音のない、空虚な世界を、架橋することを学びました」(『わたしの生涯』岩崎武夫訳)

 ヘレン・ケラーの輝かしい生涯は、盲目と聾唖(ろうあ)によって、霊感と可能性を与えられたのかも知れない。

 ヘレン・ケラーの守護神と呼ばれたサリバン先生が、もしおられなかったらどうしましたかと、よく尋ねられたそうだが、そんなときは笑って元気よく「神様が先生をくださったのですから、もし先生をおとりになっても、神様はきっとその後の空虚を愛を持って満たしてくださるでしょう」と答えた。

 マーク・トウェインは、ヘレン・ケラーが二十四歳でハーバード大学を卒業した際に、彼女と集まった人々を前にして次の言葉を伝えている。「十九世紀には二人の偉人が出た。ひとりはナポレオン一世であり、いまひとりはヘレン・ケラーである。ナポレオンは武力で世界を征服しようとして失敗に終わった。しかし、ヘレンは三重苦を背負いながら、心の豊かさ、精神の力によって今日の栄冠を勝ち得た」

 見えない、聞こえない、語れない。このまれに見る人生のどん底から、「見よ、わたしは新しい事をなす。やがてそれは起こる、あなたがたはそれを知らないのか。わたしは荒野に道を設け、さばくに川を流れさせる」(旧約聖書)と、歓喜に満ちあふれた。

 ヘレン・ケラーの、その揺るぎない確信と勝利は、信仰と希望と愛によるものであった。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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