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コラム

現代社会ド突き通信
1945年以来核に怯えていた私 第二回

2014-03-07

 知らぬ間に80歳になっているのに気がつきました。それで、今日本にいる若いエネルギーのある外国語が喋れる多くの人々に、核保有国に行って、核の残酷さについて無知な人々に知らせてほしいという願いをこめてテキストブックを作ったのです。「だから、言ったでしょっ!」という本で、出版記念に2011年5月半ばに日本に帰っていました。
 この本は私の反核活動をあっちこっちに書いたのを纏めたもので2年前から企画していたものです。若い人々が余りにも核の恐ろしさに無知なので(実際、2、3の出版社から断られた。ある大きい出版社の理由は、若い人は核に関心がないから出版できないと)、かの出版社も加えて、核で地球が滅びることを悟らせたかったからです。私はもう人生が終わりかけていますが、これからの人々はしっかりと、オーソリティーがしていることを監視しないと将来が滅茶苦茶になるよりも、無くなるでしょう。
 この本のゲラがうちに帰っていた時に、出版の一ヵ月半前にあの恐ろしい東北大震災が起こり、福島原発の大惨事が起こったのです。
 こんな不幸な出来事で、核の恐ろしさを知ることは不幸です。人々が目覚めたとは思いますが、遅すぎました。危惧していたことが起こってしまいました。私が過去8年やってきた反核運動が無駄になりました。最大核保有国のアメリカでするよりは、日本でした方が良かったのだろうかと暗澹としました。そして、平和という意味が私の頭の中で混乱しました。
 平和を保つためには、世界中の国の指導者が理知的で、人類愛を持ち、人の命を守るのを政治の一番大切なものとし、それを教育に取り入れようと考える人でなければなりません。 
 私は日本を出てから50年になりますが、その間に55基(作動は54基)も原発を建てたと聞いて、本当に驚いたんです。こんな危ないものを、地震国の日本によくも建てたことだと・・それも、アメリカは1970年代末のスリーマイル・アイランドの原発事故以来建てていないし、ヨーロッパも多くの国が建てるのをやめていたのに・・。アメリカに既に104基あると言っても、日本に比べたら10倍以上も面積があります。カリフォルニアが日本と同じ面積で2基あるだけです。こんな同じ面積に54基もというのは私から見れば狂気の沙汰です。 
 それに、広島、長崎で原爆を落とされて、20万人以上の被爆の死亡者を出しているのにもかかわらず、核を使う原発を日本で建てるという考えを持っただけでも日本人として変だと他の日本人は思わなかったのでしょうか?   
 1950年半ばからの政府、企業、それにかかわった専門家、またその危険さを書かなかったメディア、そういう企画は極秘にされていたのでしょうか? 
 それでも、福島県の人々が多額の手付け金、補助金、名前はともあれ、私からみれば賄賂を貰っていたということでも明らかなように、彼等企画者たちは真実つまり、人間に対する危険さを公にしなかったのは、その知識を一般の人に知らせると自分たちの企画の妨げになると思ったからです。建てる土地の人々に賄賂を使った企業も、政府、企業に言いくるめられた専門家も国民の税金という大金をポケットに入れることを見込んでいたのでしょう。
 人類に、自然に、危険な核を使って全国の使用電力の約20%しか生産していなかったというのも驚きです。
 “私の物理学者”と呼んでいる友達がいます。
 日本から来たメールに原子炉の説明があったので私は分からないから核物理ではないが物理学者の彼女に送りました。それを見て、
 「こんなややこしいことをして、それも危険極まりないもので蒸気をださせて電気を起すておかしいわ。蒸気機関車を思い出した。電気ぐらい簡単につくれるのに」と、原発の構造を見て洩らしたことがあります。
 それに原発電力を生産するのに掛かる費用たるや・・元京大原子炉研究所講師の小林圭二さんによると、敦賀にある動燃のもんじゅに今まで掛かった金額が1兆3千億円を越しているとあります(「世界」2011年3月号)。これだけの金額を一つずつの原発に遣ったとしたら、54基でどの位の金額を遣ったのでしょうか? 賄賂金も入れると・・国民の金です。
 それだけの金を市民のために政府が援助金に遣うと、太陽熱のパネルや風車を日本中足の踏み場もないほど設置することができます。私は家の屋根に10年前に付けました。あの時、ロサンゼルス市が援助金を4分の3出してくれて、私たちが出したのは4千ドルだけでした。5、6年で元が取れました。原発と比べると、安全だし、それも国民に大きなお釣りが来るし、電力は十分にある筈です。今ハワイでは、太陽パネルを皆付け出して、電力会社のグリッドがハンドルできないくらいとLAタイムズに出ていました。
 そのうえ、不幸なことに多くの日本人は他力本願で、自己主張をしないし、自分で疑って調べてみないで原発を信用するように洗脳されていることが今度日本に帰っていて分かったんです。太陽パネルのことを友達に話すと、日本は雨が多いし、土地が狭いし、家が建て混んでいるから無理だと・・。私の親類で建築に携わっているのに、何年も前から勧めていますが、同じ理由で誰もそんなの付ける興味がないみたいと言いました。
 日本では誰も太陽パネルは曇った日でも電気を作っていることを知りません。私は使っているから知っています。ドイツのように北欧にあって日本に比べると大変太陽の照射率は低くても太陽パネルを大いに使ってやっています。うちに付けたのはドイツのシーメンズ製のす。パネルの製品がある限り、屋根に付けるのは二日でできました。私は自分たちで独立した発電をしたかったのですが、あの蓄電用の電池が当時手に入らなかったんです。だから、市に電気を売っている組織のをつかっています。よそが停電していても自分の家だけ電気が煌々と付いているというようにしたかったのですが・・技術的に進歩している日本には当時でもこういう優れたものはあったと思うんです。
 不思議に思ったのは、私達が1963年頃日本に2年住んでいたとき、愛知県の安城に住んでいた叔母の家には風呂用湯沸し用の太陽パネルが付いていました。当時は日本の田舎の家には多くのこういうパネルが見受けられたので、日本ではこういう方向に行くのだなあと羨ましく思ったことでした。それが、いつの間にかそういうものはなくなって原発企業が原発がいかに近代的で生産の向上には絶対必要であると国民に洗脳して行ったようです。 (つづく)

*これは、2011年3月11日の2ヶ月後に書かれた。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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米谷ふみ子




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