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コラム

苦楽歳時記
vol85 困ったものだ 

2014-02-28

心理学の本を読むと、「人間は周囲の環境から影響を受けて行動に出る」と要約されている。例えば若い時分に結婚をして、子育てに四苦八苦するよりも、晩婚である方が生まれてくる子供にとって、より良い生活環境が望めるという。

その理由は、経済的にもゆとりが出てきた人生経験豊富な両親の方が思惟的であるからだ。
   
このように人格は、DNAから受け継がれて形成されるものではなく、四囲の感化によって確立されていくらしい。「三つ子の魂百まで」というが、幼児期に体感した習慣は、終生忘れることはないのだろう。
   
幼いうちに習わしておきたいことの一つに、読書の習慣がある。読み聞かせと、自由詩や定型詩などの銘記は極めて肝要であると思う。

物語においては、ストーリーや活字を追うことだけに専念せずに、文脈の間隙をじっくりと読ませるように心がけることだ。これこそが情操教育なのである。
   
先ごろ、レフ・トルストイの童話集を買い求めたが、解説のところを読んでみて、些かがっかりとさせられた。児童文学を研究している大学教授が、「トルストイの文学は人間愛に基づく人道主義に貫かれている」。と述べていたからである。

人間愛に基づく文学作品をひと言で表現する場合に、人道主義が貫かれているというのは、あまりにも概念的で表象的ではない。この場合は少なくとも汎愛(はんあい)主義、もしくは博愛主義が望ましい。
   
『人は何によって生きるか』、『イワンのばか』、『パンのかけらと小悪魔』など、トルストイの一連の文芸作品には、キリストの愛が色濃く貫かれているのだ。と断言しなければ、的確な評釈として認めるわけにはいかない。
   
毎月、第四土曜日は『こどもの本の日』。昨今の絵本や童話を閲覧していると、不完全な文意に度々遭遇する。困ったものだ。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新井雅之

文芸誌、新聞、同人雑誌などに、詩、エッセイ、文芸評論、書評を寄稿。末期癌、ストロークの後遺症で闘病生活。総合芸術誌『ARTISTIC』元編集長。




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