ピアノの道
vol.185 人類滅亡の危機を言い訳にするな
2026-10-18
「AIによる10年以内の人類滅亡10%」論がメディアを騒がせています。医学誌ランセットは10月10日に今世紀末までに人類の健康や存続に悪影響を及ぼし得る脅威として、AIの悪用・核戦争・大気汚染・気候変動・経済格差など17項目を挙げました。
でも私は音楽家として、堂々と理想論を述べる楽観主義者であることが自分の役目と心得て、ここに宣言します。。冷戦・大戦・災害・疫病など、それぞれの世代や時代にいつも脅威はあった。そして人間の脳はいつも個体の保身と人類の存続を最優先に、全てに危険の可能性を見出してびくびくと周りを探知している。だから世界の沢山の宗教に世界終焉説や地獄があり、科学以前の我々の祖先は全ての自然現象に恐れおののいて生きながらえた。でも、世界が終わらなくても、我々みんないつか死ぬ。そして最悪の展開に怯え続けて一生を終えるよりも、一日でも一瞬でも理想を現実化し、真・善・美を全うすることに集中した方が絶対楽しい。
武力紛争などの被害者の人道支援をする赤十字国際委員会(ICRC)の総裁は、国際条約や戦争法を無視して悪化する武装紛争を憂いて例外的な公開インタビューをニューヨークタイムズに発表しました。スーダン・ガザ・ウクライナ・イラン…様々な紛争地で兵士や被害者や人質に会い話しを聞いて回る、ICRC史上初の女性総裁は「親を亡くした子。手足を無くした幼児。空爆や拷問や略奪の跡地。無法の殺戮は被害者も加害者も非人間化させる」といいます。そんな悲惨さと向き合うことを果敢に続ける女史は涙をぬぐいながらインタビューの最後をこんな希望の言葉で締めくくっているのです。「子供らは自分たちの将来には平和があると思っている。我々はその声を聞かなくてはいけない。武器や軍事や防衛ばかりを考えるのではなく、我々の素晴らしい人間性を、平和を、寄り添いあった協力体制を、共同生活を、創り上げることを考えなくてはいけない。我々みんなに共通する人間性を拠り所とすることを優先させなくてはいけない。」
…ここに一人ピアニスト、出動準備万端です!
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。静岡大学ピアノとウェルビーング研究所メンバー。








