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コラム

ピアノの道
vol.175 止まれ

2026-04-19

ミスは起こります。大事なのはミスにどう反応し、そこからどう進むかです。

生徒さんたちはミスが大嫌い。ミスが無かったことにしたいからでしょうか―反射的にすぐ弾きなおそうとします。しかしそれではミスが提示する学びと成長のチャンスを無駄にしてしまうことになるんです。練習中にミスをしたらまず手を止める。そして3つ考えます。⓵WHAT:何をミスしたのか。⓶WHY:何故そのミスが起こったのか。⓷HOW:どうすれば二度と同じミスを起こさないようにできるか。

この3つは人生訓としても応用できます。例えば恋愛。新しい出会いで失恋の痛みを忘れたくなるのは私にも経験があります。でも一度立ち止まって痛手と向き合い―⓵何が起こったのか、⓶なぜ起こったのか、⓷どうすれば同じミスを繰り返さないのか―を把握すれば幸せなパートナーシップに繋がる次の一歩への自信に繋がると思います。

この時目的も明確にするのは必須です。恋愛の場合は幸せなパートナーシップという目標を明確に⓵・⓶・⓷を考えて下さい。傷心状態で突き詰めてしまうと、⓵痛手を負った、⓶恋愛をしたから痛手を負った、⓷恋愛をしなければ痛手を負わない、という本末転倒の結論に到達してしまう可能性もあります。勿論、目標を明確化する過程で自分は一人の幸せを突き詰めたいと気が付けばそれはそれで素晴らしいと思いますが。

演奏中にはどんなミスをしても手を止めることはできません。でも実際には本当の本番は少ないのです。それなのにどんな日常も練習もSNSで瞬時に拡散される今日、皆が毎日をパフォーマンスと勘違いして、練習とミスから得る学習を怠っている気がします。でも⓵練習を積み重ね、⓶ミスは成長の糧と実感して、⓷明確な目的意識を持って臨む本番は、ミスをしてもブレないんです。「どうしてミス無しで弾けるのですか?」と質問されることもありますが、私もいっぱいミスしています。でも共感と共鳴という音楽の理想が定まってからミスしても演奏の土台が崩れなくなったんです。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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