ピアノの道
vol.168 実感で足るを知る
2026-01-04
2026年明けましておめでとうございます。
私の今年の抱負は「足るを知る」。今この瞬間を最大限慈しみ、未練を残さない。その縁や体験や交信への感謝と共に、反芻を繰り返して楽しみ、吸収することに満足する。
練習、勉強、休憩、食事…一度始めたことを「もっともっと」と惰性と中毒の合間で際限なく続けてしまう習性はいつ始まったのだろう…考えていたら先輩ピアニストに言われたのです。
「昔はさあ、知らない曲を聴くのに電車で上野の図書館まで行って、長ーい引き出しに整理されたカード形式の目録で調べた録音を司書さんに出してもらって、館内でヘッドフォンで聴いたのよ。半日かけたわよ。でもかけた時間の分、感動も大きいのよ。それで帰りの電車でもずっと考えてんのよ、お腹空かせながらさあ。そういうのって忘れないのよね。でも今の子はなんでもピピピってタイプしてすぐ聴けちゃうじゃない。便利だし、時間は短縮だわよね。でもね、感動が違うのよ、感動が。『ピピピ』って出てくる情報とか音楽なんてすぐ忘れちゃう。」
目的意識を持った時間と努力の投資をせずに得たものには実感が伴わないから満足感もない。それに気付かせてくれたのはこの先輩ピアニストともう一つ、ランニングです。今年3月15日に迫ったLAマラソンに向けて10マイル、12マイル、16マイルと距離を伸ばして走りこんでいく中で、
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。








