ITのススメ
Vol. 22 音楽業界の未来
2025-10-05
今や生成AIの話を聞かない日はないといっても良いくらい生成AIは日常生活の一部になってきましたね。音楽の世界にも確実に浸透していて、作詞作曲をAIが担っているであろう楽曲も世に流通するようになりました。コマーシャルなどで製品紹介のバックで流れる曲などはAIを使って簡単に数秒で出来るようになってきたので15秒以下のコマーシャルソングを制作してきた音楽クリエーターにとっては大打撃です。ものの数秒でできて費用も発生しないため製品を売り出す企業は10曲くらいその場で作成し、一番製品のイメージにあった楽曲を採用する仕組みが増えてきたようです。一方アーティストが生み出す楽曲の創作活動にもAIを使う動きが増えているようです。時間や労力が節約できることと作曲や編曲にかかる時間を大幅に短縮でき、AIが提供する多様なアイデアやインスピレーションにより、従来の枠にとらわれない斬新な楽曲を生み出すことも可能になりそうです。しかしAIに依存するとクリエーターは創造力が低下したりする恐れもあり、かつAIが生成する音楽では微妙に感情やニュアンスがかけてしまったりと、いくら優れた楽曲に仕上がっていても、聴いていてつまらない楽曲になってしまうリスクもあります。とはいえ自分にはない感性の曲を作ったり出来るのは素晴らしいの一語につきます。売れそうなメロディと今時な編曲等、音楽に縁がなかったおじさんにも作れてしまいます。AIやYouTube以前の音楽業界ではアーティストがプロデューサーと一緒にスタジオで楽曲を制作、レコーディングして、それをレコード会社などのレーベルが販売するというスタイルでした。現代では生成AIとYouTubeを組み合わせることで個人や小規模クリエーターが低コストで高品質な楽曲を制作することが出来るようになりました。AIが作ってくれる楽曲は全て過去のデータから導き出した手法およびそこから推測される予測でしかありません。なので60年代にビートルズが誕生した時や、ブラジルでボサノバが誕生した時のような新しいものは生まれないんです。AIのヒット曲のパターンデータは過去から引っ張ってくるわけですから。なのでAIでは過去を超えることはできません。これからは人間の自由な未来的な発想をAIが補完して行くような使い方が一番現実的かもしれません。音楽の未来は明るくなるのか暗くなるのか、それはこれからAIをどんな使い方をするのかで決まりそうです。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

