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コラム

ピアノの道
vol.156 独立記念日に考える『自他共栄』

2025-07-03

演奏会は、奏者と聴衆とスタッフは勿論、調律師・ピアノ製造やホール設計・建設に携わった人々・作曲家などの沢山の人の想いと意図が集大成した協力で初めて可能になる共同制作です。でも一瞬の事故や災害、一人の暴力で台無しにすることも可能です。そういう意味で社会や国家にも似ています。

例えば、演奏前一人でする壇上での練習と聴衆を前にした本番では、同じ日の同じ会場・ピアノ・曲でも私の演奏は変わります。なぜでしょうか。まず、聴衆の体は音を吸い、呼吸や体温は会場の温度や湿度を上げ、その全てが音響や楽器に影響を与えます。我々は存在そのもので演奏会場(や世界)を変えてるんです!その上、お客様が壇上に投げかける視線や、曲や演奏に反応して発信して下さる拍手や表情や息遣いなどで、私の考えや感じ方や解釈や演奏も変わります。私の演奏は会場のお客様の「気」に対する反応なんです!我々一人ひとりが自分の影響力に主体性と責任と誇りを持って参加する演奏会(や世界)はみんなにとって素晴らしいものになる可能性が増大します。

恐怖政治や搾取は、演奏会なら「身動きせず静粛に聞かないと食事抜き!体罰!」などと脅かして聴衆を縛り付けることに例えられます。イギリスの圧政に抗い、自治国家創立の意思表明として独立宣言をしたアメリカは演奏会(=国際社会形成)に主体性を持って積極参加し、その協力に対して正当評価を受ける権利を主張しました。しかし、独立性だけを強調し、周りへの影響を考慮せずに自国の繁栄だけを目指すのは、聴衆の一人が「別の曲が聴きたい!」と演奏中に突然主張することに似ています。よい音楽を共感するために同じ演奏会場に集まったスタッフ・聴衆・奏者と同じように、人類は自他共栄とよりよい未来を目指す運命共同体と自覚をするべき。私も一市民・音楽家としての自分の在り方を問い続けます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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