ITのススメ
Vol. 19 記録メディアの変遷
2025-07-03
アナログ時代からデジタル化はここ30年で急速に進み、写真はフィルムや印画紙からメモリーカードに、ビデオはテープからディスクやメモリーカードやクラウドへ、パソコンデータの保管も5インチフロッピーから3.5インチフロッピー、MO、光ディスクそしてクラウドへと変わり、劣化を抑え再利用が容易になりましたが長期間の保存はむしろ混乱をきたしているのではないでしょうか。バックアップを取っていたフロッピーは再生する機械が残っておらず、zipドライブはドライブとディスクは残っているのにパソコン側に対応するパラレルポートなどのインターフェイスがないので結局使えない。さらにバックアップしていたUSBメモリーはトンネル酸化膜の劣化により読み込みができず、磁気ディスクは磁力の劣化で読み込みが出来ない等の問題があり、何が正解なのかも判断が難しいご時世となってしまいました。
そんな中マイクロソフト社が立ち上げたプロジェクト・シリカという新しい記録方式が静かに進行しています。これは記録メディアに石英ガラスパネルを採用し(素材は二酸化ケイ素)記録メディアには電子部品が一切使用されていません。なので現在の再生手段が失われたとしても別な方法で再生が可能になるように開発されたのです。方法はガラスパネルにデータを三次元記録し、光を照射して偏光顕微鏡を使って読み出すという具合です。
書き込みは超短光赤外線レーザーを使用し、ガラスの一部分を物理的に変質させることで記録を行います。その変質部分の事をボクセル(Voxel)と呼び、そのサイズは1ミクロン以下です。さらにガラスの厚みの中にボクセルを100層以上積み重ねることで大容量を実現しています。
読み出しはレーザー光ではなく通常光を照射し、偏光ガラスを通過するボクセルの輝きを機械学習によるパターン認識でデータの復元を行っています。ここまで書くと何やら大変難しそうですが、簡単に言うとガラスの中にレーザー光でアート作品を作る感じと似ています。書き込みは一度しかできないので間違えて上書き保存してデータが別物になってしまったりという心配もありません。ネックなのは進化し続けるファイルなどを上書き保存する場合には別なファイル名を付けて保存しなければならないので似たようなファイル名が増えていくことと、それに伴い容量を圧迫していくことですね。今後のマイクロソフト社の開発に大いに期待したいと思います。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

