HIS 2025-08-28

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コラム

ピアノの道
vol.155 時空を超える歌心

2025-06-20

私が父の転勤に伴い渡米したのは1989年6月9日。天安門事件の翌週でした。2か月後に合格したジュリアード音楽院で私は生まれて初めてブラームスの曲をもらいました。間奏曲イ短調、作品116‐2。譜読みを始めてびっくりしました。(あ、この曲…)サクラにそっくりの主題だったんです。

さくらさくらのメロディーは19世紀半ばの幕末にお琴の手ほどき曲として発祥し、作者も作曲年も不明な民謡として時代を超えて歌い継がれています。日本でなじみ深いのは勿論、オペラ「蝶々夫人」やポップスからゲームまでの様々な引用などから、日本と言えばこの曲と世界が思う一曲となりました。文化庁とPTA全国協議会が2006年に歌い継いでほしい100曲に選んでいます。

しかし不思議なことに、ブラームスはサクラのメロディーを知り得なかったのです。サクラが最初に渡欧したのは、1888年から1894年まで明治幕府の元で音楽教師を務めたRudolf Dittrich(1861-1919)と言うオーストリア人が、帰還して日本の歌曲集を1894年と1895年に出版した時です。ブラームスの間奏曲が作曲されたのは1892年。やはり音楽は世界の共通語なのか…感動しながら練習していたら、同じ年の11月に今度はベルリンの壁が崩壊しました。

ドドソソララソ~も1740年ごろフランスで発祥した作曲者不明の民謡。こちらも「ABCの歌」や「きらきら星」を始め、色々な歌詞で世界の様々な国で歌われてきています。1740年と言えばアメリカの独立宣言(1776)やフランス革命(1789)の前ですが、「天は人の上に人を造らず」なんて偉そうに言わなくてもABCD…と世界中で300年歌ってきた、そして今日も歌っている子供たちに格差があるなんて思えるわけがありません。難民の子。移民の子。大きな子。小さな子。元気な子。恥ずかしがりやの子。東でも西でも右でも左でも、音楽家としてみんなの歌心を育み守り、慈しみます。
 
人間みな平等。音楽万歳。

サクラそっくりのブラームス間奏曲作品116-2はこちらでご覧いただけます。
 


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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