キム・ホンソンの三味一体
vol.226 目には見えなくとも
2025-05-02
先日、教会でユースグループを始めました。子供たちのためのプログラムですが、親も一緒に参加して子供たちと一緒に信仰のことやアメリカで生まれたアジア系としてのアイデンティティーのことなどを話し合って、次の世代に教会を委ねる準備を始めたわけです。家ではまず話さないようなトピックなので大丈夫かなと半信半疑でしたが、いざやってみると意外に子供たちの知らなかったところが学べて非常に良かったと思っています。
トピックは「見ないのに信じる人は幸いである」(ヨハネ20:29)というイエスの言葉から、「目には見えないのに信じているものは何か」でした。すると恐竜だの電気だのと色々な面白い意見がたくさん出ましたが、中でも一つ印象に残ったのは、それは「空気」だという意見でした。それを聞いてイギリスの詩人クリスティーナ・ロゼッティの「風」という詩を思い出しました。
誰が風を見たでしょう
僕もあなたも見やしない、
けれど木の葉を顫(ふる)わせて
風は通りぬけてゆく。
誰が風を見たでしょう
あなたも僕も見やしない、
けれど樹立(こだち)が頭をさげて
風は通りすぎてゆく。
(西条八十 訳)
確かに風そのものは見えないけれども、その風によって揺れ動く木の葉を見て風を知ることができます。同じく神の愛は見えなくとも、その愛が人となって人々のために自分の命を犠牲にしたイエスを見ることで、人類への神の愛を見ることができるのではないでしょうか。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

