ピアノの道
vol.130 メディアで声の平等化
2024-05-31
人種に関する政策の改善に長年取り組んできた友人に相談されました。「政治よりも直接的に社会に働きかけられるエンタメ業界に移行することを考えている。」真面目な彼女の意外な発想にびっくりすると同時に、でも確かに世論に訴えた方がより効果的かもしれないとも納得したのです。
そしてそういう志を応援するNPOがいくつもあることも最近知りました。例えばIYMS(国際青年メディアサミット)は世界中から有志を招聘し、LA界隈の映画製作のベテランたちの指導の下に社会問題を扱った短編映画を発表するという企画です。貧困に苦しんだり、紛争で家族や友人を失ったり、未来に不安を抱える若者たちに声を上げる術を伝授した時、彼らは何をどう表現するのか。上映会にご招待頂き、感服しました。
TC & FAM Beyond for Education(https://www.tcstudiohollywood.com/)はLA近郊の若者たちにメディアやデジタルマーケティングに進出するのに必要なノウハウを伝授するNPOです。日曜日の18時~18時半のゴールデンタイムにKXLA (Channel 44)で放映される “Creative World”の制作などを通じて現場での経験と実績を積んでいきます。私もスタジオにお邪魔しインタビュー動画を収録して、3回シリーズに編集して頂きました。(YouTubeでも御覧頂けます。一回目はこちら)
スマホで動画が撮影でき、SNSに誰もがなんでも投稿できる現在、映画やメディアをうまく利用するための教育は、声の平等化につながる。もしかして今の時代に一番直結した民主主義活動なのかもしれない。世界最古のメディアともいえる音楽の道を進む私は、みんなが堂々と声を上げられる社会をつくることで、世界の共感力と協力体制が高まると思っています。応援しています。
この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。








