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コラム

ピアノの道
vol.129 耳栓をするピアニスト

2024-05-17

 私のピアノの周りには楽譜、鉛筆、消しゴムなどと一緒にいつも耳栓が置いてあります。不思議に思われる方もいらっしゃると思いますが、練習中によく使うんです。
 
 練習は作戦会議に似ています。最低限の努力で最高の演奏ができる確率をできるだけ高めるための作戦です。
 
 難所を困難にしているのは大抵一つの要素ではなく、いくつかの要素の重複です。例えば低音部から高音部まで何度も飛躍をするパッセージ。どんなに距離が大きくても時間がたっぷりあればきちんと狙って外しませんよね。スローモーションで弾いてみて、どう座り、視点をどこに据え、腕を手首をどの角度でしならせるべきか、考えながら体が覚えるまで繰り返します。目を閉じても外さなくなったらだんだん速度を上げていきます。
 
 目を閉じると触覚や聴覚が生きるように、耳栓は触覚や視覚への集中度を高めるんです。練習中に大事なのは、脳の情報オーバーロードを避けることです。学習中の脳みそはできるだけ気遣ってあげなくてはいけません。休みも小まめに取るし、要らないインプットは取り除きます。
 
 大音量は体も脳も疲れさせます。アドレナリンやストレスホルモンが分泌されます。短期間なら興奮作用にもなりますが、長期間になると疲れて学習能力が下がってしまうんです。五感のいくつかを遮断することによって脳の容量をセーブできます。視覚の場合は目をつぶったり開けたり簡単にできますよね。それと同じことを耳栓でするのです。
 
 難所を難しくしている要素を一つずつ解決していく…これって人生や社会問題にも応用できそうですよね。これを読んでくださっている読者のどなたかのヒントになれば幸いです。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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