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コラム

ピアノの道
vol.128 なぜ東大は男だらけなのか

2024-05-03

 「女は感性、男は知性」のバイアスの下、私の小学校同級の女子はほぼ全員ピアノを習っていました。男に生まれていたら私もピアニストにはならなかったと思います。

 東大の学部生の男女比が約8対2と私が知ったのは2019年。東京医科大学をはじめとする10校での女子受験生の一律減点が発覚した翌年、東大の上野千鶴子教授(社会学・女性学)による入学式祝辞での男女格差の問題提示が話題になった時です。「女は東大なんか行くもんじゃない」…合格した際の父親の言葉に涙していた友人を思い出しました。主要な国立大学の女子学部生も平均30%未満。世界経済フォーラム(WEF)のジェンダーギャップ指数が146か国中125位の日本の問題の側面を照らす問題です。

 東大合格者の統計が浮き彫りにする不平等はジェンダーに限られたものではありません。東大合格者の42.7%は日本にある高校4,856の内20校の卒業生です。その20校のうち10校は男子校、17校は私立校、そして19校が人口50万人以上の都市圏にあります。(P.34)女性だけではなく、私立高校の授業料が払えない家庭や、地方出身の受験生には不利なのです。

 「大学は本来、既知の事柄や考えを批判的に再考し、新たな思索を築いていくところである。それが逆に社会の体系的差別の構築と強化に加担しているのであれば、正さなければいけない。…男性中心の硬直した社会をあたりまえのものとするのではなく、さまざまな価値観・背景を持つ人びとが集い、交流するなかで新しい、より民主的な発想が生み出される、多面的で開放的なキャンパスと社会を模索するあゆみが必要である。」『なぜ東大は男だらけなのか』(2024)の著者、東京大学副学長を務められる矢口祐人教授の本文序章からの引用です。

 私も高等教育や研究に携わる在外日本人女性としてこれからの日本の多様性に貢献したいと思います。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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