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コラム

ピアノの道
vol.105 音楽で孤独廃絶!

2023-05-19

 「孤独は毎日15本の煙草を吸うのに匹敵する健康リスク。肥満や運動不足よりも悪い。」今月初頭、米国医務総監が発表した報告書にある言葉です。孤独による健康リスク増加の数値は驚異的です。早死が26∼29%; 心臓疾患29%; 脳卒中32%...更に不安感や鬱、認知症などのリスクも増大し、感染症や呼吸器官疾患にも悪影響があるそうです。

 「社交は水や食べ物や住まいと同じくらい、私たち人間にとって必要なものだ」と報告書は発表しています。友人と過ごす時間は2003年にアメリカ人が一月当たり友人と過ごした時間の平均が30時間だったのに対し、2020年には10時間に減っています。パンデミックの影響もありますが、スマホやSNSも人々の孤立化に一役買っています。特に15歳~24歳の若者にこの傾向が著しいそうです。

 私たちは社会的動物だ—音楽の効果を研究していると常に私が思う事です。共同作業。お祭り。会合や会食。挨拶。社会には人間の社交ニーズを満たす為のからくりが沢山あります。その一つが音楽だ、というのがDr. Pianistとしての私の主張です。

 面白いのは「社会的孤立(isolation)や孤独感(loneliness)とsolitude*は違う」と報告書にある事です。人に囲まれながら孤独を感じた経験は、大抵の人が「あるある」ですよね。統計によると、同国人を信頼すると回答したアメリカ人は1972年の45%から2016年の30%に減少。隣人を信頼できなければ孤独感も孤立も悪化しますよね。

 でも、どんな違いや不信感をも超越して一体感をもたらす力を持つ行為もあります。同じ釜の飯に舌鼓を打つ。不可能に思えた困難に協力して打ち勝つ。笑い合う。その中でも音楽がもたらす一体感は特筆に値するパワーがある—音楽家だけではなく、脳神経科学者・考古学者・人類学者・社会運動家…みんな同意見です。

 スマホもイヤフォンもしまってください。外に出て人と声を交わし、同じ音楽に一緒にちょっと動いてみて下さい。合唱サークルに加わってください。演奏会に来てください。音楽万歳!

この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。

*Solitudeに値する日本語の単語が無いのですが『独立感』とでもしましょうか。一人でいる事を選択しそれに誇りや快感を感じる事です。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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