NikkanSAN_TopBanner_2023-05-07

ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など

日刊サンはロサンゼルスの日本語新聞です。 記事は毎日更新、求人、クラシファイドは毎週木曜5時更新。

コラム

ピアノの道
vol.103 正直に練習

2023-04-14

 ピアノを弾くのと練習するのは違います。
 
 練習というのは、何がどうして出来ないのかを解明し、解決するプロセスです。だから最初から最後まで曲を弾き通すのは、本当の練習ではないんです。「難しい」「出来ていない」と自分の中で正直に認めて向き合うのは、中々出来ないものです。ちょっと気を緩めると、すでに弾けている所を弾けるようにパラパラ弾いています。ミスタッチをしてもただ何度も同じ個所を考えもなく繰り返し、一回まぐれで正しく弾けたらそれで良しとして弾き進んでしまう。

 …これって日常生活・現実社会でもありますよね。「こうすれば良くなる」と分かっていても、慣れた方法で出来るようにやってしまう。気が付くと同じミスを何度も繰り返している…そして、改善・改革というのは、現状維持や同調圧力や結果発表の圧力が強い社会では中々難しい、というのが現実です。
 
 同じように、演奏会の数をこなす事が必要なピアニストにも、本当の意味での「練習」できる時間や機会というのは、多くはありません。一つの本番から次の本番へと、譜読みと演奏をこなす事に追われて、技術や音楽性の向上の為の時間も精神も乏しくなる事が多いのです。でも、最近思うのです。芸術家や運動選手の使命というのは、日常生活や現実社会を超越した人間の可能性を体現する事ではないのか。効率とか利益とか社会的要求を超えた、こだわりと愛着のインパクトをやってみせる事ではないか。銃導入後の武士の剣術と同じように、我々の本領は本番よりもその修練にあるのではないか。
 
 企画の段階から協力させて頂いている「テンポ:音楽による環境運動」が先日LAタイムズに取り上げられました。社会構造から生活様式まで、正直な見直しと改善・改革を我々一人一人に余儀なくさせる環境問題。音楽家としてできる貢献に邁進していく所存です。どうぞ見守ってください。

この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。
 
テンポについてのLAタイムズの記事とポッドキャストはこちらでご参照ください。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
Facebook   Twieet

平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




[ 人気の記事 ]

第230回 碧い目が見た雅子妃の嘘と真

第249回 尻軽女はどこの国に多いか

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 後編

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー① アメリカについてよく知ることが大切

第265回 天才と秀才、凡才の違い

第208回 日本と北部中国に多い下戸

第227回 グレンデールに抗議しよう

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 前編

第173回 あなたの顔の好みは?

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー③ アメリカについてよく知ることが大切



最新のクラシファイド 定期購読
JFC International Inc Cosmos Grace 新撰組3月 Parexel pspinc ロサンゼルスのWEB制作(デザイン/開発/SEO)はSOTO-MEDIA 撃退コロナ音頭 サボテンブラザーズ 





ページトップへ