NIKKAN SAN 2021-01-05

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コラム

受喜与幸 ~受ける喜び、与える幸せ~
vol.33 「得るよりも与えやすい」生命の仕組み2

2022-06-10

 前回のコラムで、正常な赤血球の変形能力に富んだ、やわらかくてしなやかな性質は、人間の健康と生命の維持にとって非常にありがたい、不可欠な条件であることをお話しました。

 このやわらかさを保つために、赤血球にはひとつの精妙な仕組みが備えられています。赤血球はあらゆる細胞の中で唯一、核をもたない細胞なのです。

 ほとんどの細胞はその内部に細胞核をもっていますが、赤血球細胞だけにはその核がありません。しかし、生まれたばかりの新しい赤血球にはちゃんと核があって、成長して赤血球としてのはたらきを始めるときになると、「核よ、さようなら」とばかり、みずから核を体の外に放出してしまうのです。

なぜ、そんなことをするのか。いうまでもありません。核があると赤血球の体のやわらかさが損なわれてしまうからです。

 通常であれば、ひとつやふたつ核があっても細い血管の中を通れますが、赤血球の数は膨大ですし、毛細血管のような極細の管の中へいっぺんに大量に入っていく細胞ですから、そこに硬い核があると目詰まりの原因になってしまいます。そこで赤血球は核を捨てて、体の柔軟性を維持するのです。なんとけなげで精密な命のはたらきではありませんか。

 また、赤血球が酸素を肺から取り込み、それを全身へ供給するときの仕組みも実に精妙にできています。

 赤血球に含まれるヘモグロビンは、他の細胞とほとんど同じ分子をもちながら、まわりの細胞よりも酸素の吸引力が弱い。つまり酸素をまわりにとられやすいようにできています。それによって、赤血球が体の細胞に酸素を配給しやすくなっているのです。

 生命活動に絶対的に必要な酸素を集めやすく、配りやすいような仕組みが、体の中に自然のルールみたいにきちんと構築されている。そうして生命は絶えず生きるほうへと促されているのです。

 こういう精妙な仕組みは、ひとつの生命の中だけでなく、おなかの中の赤ちゃん(胎児)と、お母さんのあいだでも見られます。お母さんと赤ちゃんのヘモグロビンを比較してみると、赤ちゃんのヘモグロビンの酸素吸引力のほうが、お母さんのそれよりも強くなっています。

 つまり、お母さんから赤ちゃんへと、優先的に酸素が供給されるようになっているのです。

 親から子への愛情と同じように、ヘモグロビンのもつ、「得るよりも与えやすくできている」という性質が、生命をうまく循環させていることはおわかりいただけると思います。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新原豊

新原 豊(にいはら・ゆたか)
1959年東京生まれ。ロマリンダ大学宗教学部卒、同大医学大学院卒。1989年よりUCLAハーバー総合病院にて血液内科と腫瘍内科に所属。ハーバード大学で公衆衛生学修士課程を修了。2005年よりUCLA医学部教授に就任。Emmaus Life Sciences, Inc. 会長兼CEO、EJホールディングス㈱ 取締役会長。Emmaus Life Sciences, Inc. の株式シンボルは、”EMMA” です。




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