NIKKAN SAN 2021-01-05

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コラム

受喜与幸 ~受ける喜び、与える幸せ~
vol.28 生命は勝手に生きている1

2022-05-05

 命のみなもとである心臓もまた地味で、つらい生命維持作業をもくもくとこなしてくれています。心臓は、その所有者が「動かそう」と意図して動いている器官ではありません。

 生きているかぎり自動的に、しかも休みなく動きつづけています。心臓が動かなくなった瞬間に生命の維持はむずかしくなりますが、そうした命の根源的なはたらきこそ、私たちの意思や意識とは関係ないところで自発的に行われているのです。

 呼吸もそうです。私たちはふだん意識して呼吸を行っているわけではありません。もちろん意識的に行うこともできますが、もし、「これから息をしよう」と意図しなければ呼吸ができないとなったらたいへんです。

 おそらく毎日が呼吸をするだけで精いっぱいで、他のことは何もできなくなってしまうでしょう。何より息が止まるのが怖くて、一睡もできなくなるはずです。呼吸もまた、無意識のうちに行われている生命維持活動なのです。

 こういう自発性に富んだ仕組みからわかるのは、生命は放っておいても生きつづけるようにできているという事実です。命はあらかじめ生きるために設計され、生きるほう、生きるほうへといつも促されている存在なのです。

 私たちはつい、自分の意思と力でみずからの生命を維持しているように過信しがちです。しかし生命の所有者がもっと生きたいと願おうが、もう生きていたくないと思おうが、外から害を与えられないかぎり、命自身は自分の願いとは関係なく、生きているかぎり活動をやめませんし、死ぬときがくれば自分から活動を停止します。命が自発的な存在であるからです。

 インターンや研修医の時代、当直の夜には必ずといっていいくらい心臓の蘇生(そせい)治療を行う機会があったものです。

 深夜の病棟で、心臓を患っている患者さんの脈拍が停止したり不整脈を起こしたりして緊急事態になる。すると当直医の私たちが駆けつけて、電気ショックなどをほどこして、正常な心臓の動きを取り戻す。

 医学的にはごく当たり前の処置なのですが、それに慣れてくると、なかにはこんな勘違いをする医師の卵たちも現れてきました。

 「あの患者は、おれが心臓を蘇生してやったおかげで生き返った」

 でも、止まっていた心臓を動かしたのは医師ではありません。医師は心臓がふたたび自分の力で動き出すのを手助けしただけです。施療はきっかけにすぎず、あとは生命自体に備わった復元力に再生をゆだねるのです。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新原豊

新原 豊(にいはら・ゆたか)
1959年東京生まれ。ロマリンダ大学宗教学部卒、同大医学大学院卒。1989年よりUCLAハーバー総合病院にて血液内科と腫瘍内科に所属。ハーバード大学で公衆衛生学修士課程を修了。2005年よりUCLA医学部教授に就任。Emmaus Life Sciences, Inc. 会長兼CEO、EJホールディングス㈱ 取締役会長。Emmaus Life Sciences, Inc. の株式シンボルは、”EMMA” です。




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