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コラム

受喜与幸 ~受ける喜び、与える幸せ~
vol.27 苦しいことは体が自然にしてくれる

2022-04-28

 野に咲く草花がただ子孫を後世に残すために存在している生命であるなら、おしべとめしべ、花粉などがあればいいわけで、色とりどりの花びらや緑の葉っぱをつけた、きれいな姿形をしている必要はありません。

 なぜ、そこに「美しさ」という生存の必要最低条件を超えた要素まで備えて、人間の目や心を楽しませてくれるのか。これも考えてみれば、「命の不思議」を感じさせる現象といえます。

 進化論によれば、それは適者生存の結果ということになります。花のあの繊細で可憐(かれん)なデザインは、環境の変化に長く適応してきた結果だという考え方です。

 しかし、花が「適者」として生き残るために、はたしてあんなにきれいな色や形が必要でしょうか。また、その結果として、あれほど美しいものができあがるでしょうか。そう考えると、私には、花の美しさを進化論で説明するほうが不自然に思えるのです。

 多くの生命には進化論では説明できない、つまり、生存のためにはなくてもいっこうにかまわない、すぐれた感覚や機能が備わっています。

 その必要以上のすぐれた「何か」を備えることによって、生命は誕生し、維持され、また、生きる楽しみや喜びや幸せを感じられるようにもつくられているのではないか。私にはそう思えてなりません。

 そのことを証明する科学的事実をもうひとつあげてみましょう。生きるために人間が意識的に行うことは、そのほとんどが楽しいことばかりだという点です。

 寝ること、食べること、運動すること。私たちが選択的にする行為はたいてい自分にとって心地よいことです。生命を次世代につなぐことも、好きな異性と愛し合う中で、自然に可能になるようになっています。

 けれども、その反対の、生命にとって苦しいこと。それは無意識のうちに、体が自動的に行ってくれるのです。

 たとえば、発熱作用。風邪を引いて熱が出る。それだけでけっこうつらいものですが、その苦痛は体みずからが発熱して、病気を治そうとする自発的な治癒行為にともなうもの、体が自然に引き受けてくれるものです。

 もし、そのつらさや苦しさを、意識的に引き受けなくてはいけないとしたら、私たちはその作業をやろうという気持ちにはなかなかならないでしょうし、発熱の加減もうまくコントロールできないはずです。

 体にとって有害なものを体外へ出そうとするはたらきである下痢や嘔吐(おうと)も同じです。その苦しい作業を体が自動的に引き受けてくれるから、自然に快方に向かうのです。これも意識的に行わなくてはいけないとなったら、先延ばしにした結果、かえって症状を悪化させてしまうことになるでしょう。

 楽しいことは意識して行える、苦しいことは自然に行われる。こういうふうに人間の体ができているのも、生きることが楽しみや喜びにつながるように生命がつくられているからだと考えられます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新原豊

新原 豊(にいはら・ゆたか)
1959年東京生まれ。ロマリンダ大学宗教学部卒、同大医学大学院卒。1989年よりUCLAハーバー総合病院にて血液内科と腫瘍内科に所属。ハーバード大学で公衆衛生学修士課程を修了。2005年よりUCLA医学部教授に就任。Emmaus Life Sciences, Inc. 会長兼CEO、EJホールディングス㈱ 取締役会長。Emmaus Life Sciences, Inc. の株式シンボルは、”EMMA” です。




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