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コラム

ピアノの道
vol.75 『苦労は買ってでもしろ』は本当か

2022-02-18

 若い時の持ち曲をしばらくぶりに弾くと「なんと苦労して弾いていたんだ!」とびっくりする事があります。ちょっとした発想の転換で簡単に弾けるパッセージを、わざわざ難しく考えていたり、超大変な技術を用いて凄い練習量で何とか弾いていたことに気づくんです。

 「苦労は買ってでもしろ」ということわざには二つの利点があると思います。一つは回避できない苦労をポジティブに捉えるツールだということです。過去はいくら悔しがっても変えられない。若い時は本当に苦労して弾いた—しかしそのお陰で長時間の練習を苦にしない耐久性がついた!音楽について熟考する時間を得られた!精神鍛錬になった!例えば私が数年後に失聴すると診断されたとします。ベートーヴェンの気持ちが遂に分かる!他の演奏や音楽が聞こえなくなれば、より独創的になれる!

 もう一つは筋トレと同じく、ある種の苦労は成長の糧になるということです。ある程度の負荷がかかるから得られるものは筋肉だけではありません。締め切りに向けて死に物狂いで頑張った仲間との連帯感。不可能だと思ったことをやり遂げた達成感。試されたことで初めて知った自分の底力。ぬるま湯に使ったような味気ない人生と比べたら少々やけどをする方が、結局面白いんですね。

 でもそういう考えに囚われたから、若いマキコは敢えて難しく弾いていた、と私は最近思います。がむしゃらな自分に陶酔するよりも、他の人の苦労に寄り添ったり、探求心に胸躍らせて自由な冒険をした方が、どの苦労がより得る物が大きい投資なのか見極める力をつけてくれると思います。ゴールは学びと進化、そしてその結果を周りとシェアできること。これが人生の醍醐味ではないでしょうか?

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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