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コラム

ピアノの道
vol.74 ベートーヴェンと鉄腕アトム

2022-02-04

 リトル東京の図書館には日本語の本や雑誌や漫画が沢山あります。本棚に並んだ日本語図書を観覧するワクワク感に惹かれてリトル東京に用事がある時はつい図書館に足が伸びます。そして時々飛んでもない発見をする時があるんです。
 
 先週の発見は、手塚治虫巨匠の遺作―何とベートーヴェンの伝記(未完)!!
 
 「鉄腕アトム」「ブラックジャック」「火の鳥」…膨大かつ多様な手塚作品に共通しているテーマは、敢えて言えば「人間らしさとは何か」だと思うのです。そしてその手塚治虫が人生最後に手掛けたテーマがベートーヴェンだというのは、理に叶っていると私は思います。
 
 ベートーヴェン(1770-1827)の人生は産業革命と時を同じくしています。ベートーヴェンの作風が年を経るごとにどんどんダイナミックになったのも、一つには産業革命の福産物としてピアノという楽器がベートーヴェンの作曲人生と共に劇的に進化した事にもよります。音域が広がり、音量が大きくなり、更により強く速い打鍵が可能になったピアノ。品種改良が重ねられ、大量生産されるようになった、そんなピアノは楽器なのか、機械なのか?ピアノ弾きは芸術家なのか、技術者なのか?機械に取って代えられない人間性とは何なのか?AIの時代の我々と同じ疑問に直面していた19世紀初頭、聴覚という機能に不調を来しながらも意思と創造力で音楽史に革命を起こしたベートーヴェンはまさに理想の人間像だったのです。善悪を見分ける電子頭脳や感情を持ち合わせた子供型人工ロボット『鉄腕アトム』を描いた手塚治虫の最後のテーマとして相応しかったのではないでしょうか。
 
 手塚治虫は母親がピアノの先生で本人もピアノを弾き、執筆中にはクラシック—特にベートーヴェン—を大音量でかけていたそうです。今までも大ファンだった手塚治虫ですが、私の共感度・敬愛度が更にアップしました。

リトル東京図書館のHPはこちらです。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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