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コラム

受喜与幸 ~受ける喜び、与える幸せ~
Vol.11 「むさぼリ」はがん細胞の特徴2

2022-01-07

 実はがん細胞は、私たちの体の中に、毎日たくさん生まれているのです。しかし、通常であれば免疫機能がはたらいて、生まれるそばからがん細胞をやっつけてくれるのですが、何らかの原因でこの免疫機能が低下すると、「待ってました」とばかりにがん細胞が暴走を始めるわけです。

 繁殖とは自分の種族を増やすこと、自分の領分を広げることです。その繁殖のブレーキが壊れたがん細胞は、自分たちの存在をひたすら膨張させるため、欲望のおもむくままに突っ走ります。

 自分の宿主である「命」の都合もおかまいなしで増えつづけ、外部から治療をほどこさなければ、最後にはその宿主まで滅ぼして自分たちも死んでしまう……この「やみくもに増える」ところに、がん細胞の一大性質があるといえます。

 では、このがん細胞の暴走化を引き起こす要因は何でしょう。がんの主要原因は異常なレベルのストレス、ぜいたくな食生活、タバコ、お酒の四つといわれています。この四つをなくせば、がんの九割は減らせるはずです。

 また、四つとも体の外からやってくる外的要因で、しかもストレスを除けば、人間の「欲望」が引き金になっているものです。お酒もタバコも、そしてカロリー過多のぜいたくな食事も、生命の維持には本来不要なもので、とても嗜好(しこう)性の高いものなのです。

 それだけに私たちはそれらを必要性にもとづいてではなく、「食べたい」「飲みたい」という欲望にしたがって摂取しがちです。そして欲望というのは必ずといっていいほど過剰になりますから、人間は必要以上にそれらを摂取して、健康に悪影響を与えてしまうことになります。

 つまり「むさぼること」は、がんができやすい状態をつくります。残念なことですが、多くのがんは、人間の欲望がつくり出しており、人間の「むさぼる心」や不完全な生き方が生み出している病気なのです。

 細胞と同じで、私たちも成長するにしたがってみずからの役割を果たし、他者と共存して生きている存在です。他者と分け合うことや協力することが、生命にとってもっとも自然で幸せなあり方なのだということを、このがん細胞のメカニズムが教えてくれているような気がしてなりません。

 現在、先進国の二人に一人の頻度でがんが発生するのは、裕福な社会の作り出す環境に関係していないとは言い難いと思います。これだけ医学が進んでも、がんで亡くなる方がますます増加の傾向にあるのは、私たちの身勝手な生き方への警告なのかもしれません。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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新原豊

新原 豊(にいはら・ゆたか)
1959年東京生まれ。ロマリンダ大学宗教学部卒、同大医学大学院卒。1989年よりUCLAハーバー総合病院にて血液内科と腫瘍内科に所属。ハーバード大学で公衆衛生学修士課程を修了。2005年よりUCLA医学部教授に就任。Emmaus Life Sciences, Inc. 会長兼CEO、EJホールディングス㈱ 取締役会長。Emmaus Life Sciences, Inc. の株式シンボルは、”EMMA” です。




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