HIS2

ロサンゼルスの求人、クラシファイド、地元情報など

日刊サンはロサンゼルスの日本語新聞です。 記事は毎日更新、求人、クラシファイドは毎週木曜5時更新。

コラム

受喜与幸 ~受ける喜び、与える幸せ~
vol.3 大波には、正面からぶつかれ

2021-11-05

 一三歳のとき、医学の道へ進むならアメリカで学んだほうがいいだろうと母に勧められ、ハワイに住む姉夫婦の元へ移住しました。

 型にはまった日本の学校にどこか窮屈さを感じていた私にとって、ハワイは希望にあふれた土地でした。親元を離れる不安や寂しさよりも、期待のほうがはるかに大きかったように思います。快く送り出してくれた母の支えもあって、ハワイでは充実した時間が過ぎていきました。

 とはいえ、見知らぬ土地ではやはり心細い思いもしました。

 六人きょうだいの末っ子だった私は、家の中にたくさん人がいて当たり前だったので、生まれてはじめて孤独というものを体験しました。

 一〇代の多感な時期で多少物事に過敏になっていたのでしょう。ある夜、ベッドに一人で横になってうとうとしていると、まぶしく光る物体が急に目の前に現れて消えました。本当に一瞬のことでした。いま思えば夢だったのかもしれませんが、当時の私は、その光る物体が怖くて、結局朝まで眠れませんでした。

 そんな少年時代のハワイでの体験でいちばん心に残っているのは、毎日のように遊んだ海のことです。波が高いときのハワイの海は、のみ込まれるとどこかへ連れ去られてしまいそうな危険な面がありました。しかし、好奇心旺盛(おうせい)だった当時の私は、海が荒れているときもそのスリルを楽しむかのように浜辺に行きました。

 そうやって海で遊んでいるうちにひとつ大切なことを私は学びました。それは「大きな波ほど、正面からぶつかったほうが突破できる」ということです。

 大波を恐れてよけようとすると、かえってなぎ倒されてしまうのです。しかし、大きな波であればあるほど、その波の真っ正面で構え、波がいちばん高くなった瞬間にぶつかっていくと、のまれることなく泳いでいけるのです。
高波に真っ正面からぶつかっていくことをハワイの海に教えられた私は、それからいくつかの困難を経て医師の道を歩きはじめました。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
Facebook   Twieet

新原豊

新原 豊(にいはら・ゆたか)
1959年東京生まれ。ロマリンダ大学宗教学部卒、同大医学大学院卒。1989年よりUCLAハーバー総合病院にて血液内科と腫瘍内科に所属。ハーバード大学で公衆衛生学修士課程を修了。2005年よりUCLA医学部教授に就任。Emmaus Life Sciences, Inc. 会長兼CEO、EJホールディングス㈱ 取締役会長。Emmaus Life Sciences, Inc. の株式シンボルは、”EMMA” です。




[ 人気の記事 ]

第230回 碧い目が見た雅子妃の嘘と真

第249回 尻軽女はどこの国に多いか

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 後編

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー① アメリカについてよく知ることが大切

第265回 天才と秀才、凡才の違い

第208回 日本と北部中国に多い下戸

第227回 グレンデールに抗議しよう

特別インタビュー アシュラムセンター主幹牧師・榎本恵氏 前編

第173回 あなたの顔の好みは?

NITTO TIRE 水谷友重社長 ロングインタビュー③ アメリカについてよく知ることが大切



最新のクラシファイド 定期購読
JFC International Inc Cosmos Grace 新撰組4月B Parexel pspinc ロサンゼルスのWEB制作(デザイン/開発/SEO)はSOTO-MEDIA CCT 撃退コロナ音頭 サボテンブラザーズ 





ページトップへ