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コラム

ピアノの道
vol66 過去と今と未来

2021-10-01

 どの専門家もそうなのでしょうか?
 
 音楽の道を歩んでいると、私は音楽に生活や人生の教訓を色々考えさせられます。
 
 例えば、今日のお題目の「過去と今と未来」。意識をこの3つのどこにどうやってバランスよく配分すると最適か、演奏や練習をしながら私は常に考えています。過去には参考になる要素が沢山あります。ですが余りに過去の失敗に囚われたり成功を過信したりすると目の前の現実を読み間違えたり、未来を思い描けなくなったりします。逆に未来ばかりに目を据えると、目前にある儚い美しさを愛でることを怠ってしまったり、過去の教訓を活かせずに同じ間違えを何度も繰り返したりします。人生と同じですよね。
 
 「時間の芸術」といわれる音楽です。時間という次元に描く建築物だ、と例えられたリします。物語に例えても良いですね。例えで考えると、一つの曲に於ける構築や起承転結の大切さが分かりますよね。楽譜は建築物の設計図や物語の粗筋に当たります。建築物の頂点や物語のクライマックスに当たる部分を曲のどこに持ってくるか、というのはその日のピアノや気候や会場の音響や聴衆の反応などから、奏者が臨機応変に決める場合が多いです。その時、目前のパッセージだけでいっぱいいっぱいになっていては、曲の全体像は見えません。常に現在が大事な一所懸命の状態になると、一曲の中でどこにもかしこにもクライマックスが出来てしまいます。こういう演奏は奏者も聴衆も疲れるだけでなく、曲の印象がぼけてしまうんです。
 
 演奏で一番大事なのは、明確な構築を打ち出して会場の一体感を盛り上げることだと最近思っています。この為には奏者にある程度の客観性と計算が求められます。これを人生や政治に応用すると、どうなるのか。
 
 音楽の修行は面白いです。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。
https://musicalmakiko.com/en/nikkan-san-the-way-of-the-pianist/2355


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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