What’s Up, 神主さん?
第23回 神葬祭<3>
2021-09-24
9月26日は秋の彼岸明け。「彼岸」は仏教用語ですが、この時期にお墓参りをし、先祖に感謝と敬意を示す習慣は、仏教が伝来する以前からある日本古来の伝統文化です。お墓参りが難しければ、写真の前にお供え物をして、お墓のある方角に向いて感謝と敬意を表し、日本の文化を次世代に伝えていきましょう。
神道のお葬式は「神葬祭」と言います。神葬祭は、1つのイベントだけでなく、葬儀関連のお祭りすべてを差す言葉です。
神道では、人が亡くなることを「帰幽〈きゆう〉する」と言います。帰幽すると家族の守護神〈まもりがみ〉になると考えます。故人の魂は「御霊〈みたま〉」と呼びます。年に2回のお彼岸、夏のお盆の時期には御霊祭〈みたままつり〉を行い、御霊に感謝と敬意を伝え、安らかなることを願います。
前回は亡くなったことを神様に奉告する「帰幽奉告〈きゆうほうこく〉」から「墓所地鎮祭」までをご紹介しました。今号では、通夜祭からご紹介します。
通夜祭:葬場祭〈そうじょうさい〉の前夜に行います。通常のお祭りとほぼ同じ式次第ですが、祭詞〈さいし〉の後(秋祭りなどでは「祝詞〈のりと〉」ですが、神葬祭関連では「祭詞」になります)、誄歌〈しのびうた〉を神主が伴奏つきで歌います。
遷霊祭〈せんれいさい〉:通夜祭に続けて行われます。霊爾〈れいじ〉(画像)に故人の御霊を遷し留めるお祭りです。遷す時には明かりを落として暗がりの中で執り行います。霊爾には故人の名前(姓名)に「命〈みこと〉」を加えた諡名〈おくりな〉を書きます。男性なら「〇〇大人命〈うしのみこと〉」、女性なら「〇〇刀自命〈とじのみこと〉」とつけます。霊爾は白木で、諡名は仏教で言う戒名とは異なります。また、諡名料をチャージされることはありません。
葬場祭:いわゆる、お葬式・告別式で、家族だけでなく、弔問客も参列して故人にお別れをするお祭りです。
発柩祭〈はっきゅうさい〉:棺を霊柩車に載せる前に行います。お祭りの後、棺に花を入れます。 火葬祭:火葬場にて行うお祭りです。
この後、十日祭、廿日祭、三十日祭、四十日祭と続き、五十日祭で一区切りとなります。続きは次号でご紹介します。
アメリカ出世稲荷神社では11月13日(土)に、都ハイブリッドホテルのパティオで秋祭り・七五三のご祈祷を行います。詳細は当神社のウェブサイトhintoInari.orgをご覧下さい。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

