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コラム

キム・ホンソンの三味一体
vol157 自分を捨て、自分の十字架を背負う(?)

2021-09-17

 「わたしの後に従いたい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。」 これは、自分はやがて十字架にかかって死ぬのだというイエスの告知に対して、弟子の一人であったペトロが猛烈に反発した時のイエスのことばです。当時、神の律法を厳格に守るユダヤ人だけが救われると人々に教えていた宗教指導者達にとって、人のために律法があるのだと宣言し、罪人とされていた徴税人や娼婦、そして異邦人を受け入れていたイエス、しかも民衆から圧倒的な支持を得ていたイエスは脅威そのものでした。結果、イエス自身の予告の通りイエスは宗教指導者達によって殺されてしまいます。

 クリスチャンならば、この「自分を捨て、自分の十字架を背負って、イエスに従うこと」について一度は考えてみたはずです。文字通りに読めばイエスのように他人の罪を代わりに背負って自分の命を犠牲にしなければならないのかと聞こえますが、実はそうではありません。 

 カトリック教会のシスターである渡辺和子さんは、「愛と祈りで子どもは育つ」という著書の「小さな死」という章の中で、次のように記しています。

 「『小さな死』というのは、自分の生活の中での小さな我慢、自分の利己心に勝つこと、他人に流されないで生きること、相手が無礼な態度を取ったのに仕返しをすることなく許すこと、相手が恩知らずなのに、こちらがやさしくしてあげること等を指します。これらはすべて自分が死なないとできません。私が、私が、と言っている間はできないのです。

 私はよく「リトル・デス」とつぶやくことがあります。たとえば、会いたくない人に会わなければいけない時、階段を降りながら、「リトル・デス」とつぶやきます。一粒の麦の「死」が豊かな収穫をもたらすように、私たちも自分が死ぬことによって豊かな命を生み出すことができると信じる時、日々の生活の中で自分が死ぬことの意味ができてきて、死を肯定することができるのです。」

 自分の利益を追求して、合理的に効率よく生きることが最も賢い生き方だと教えるこの世の中において、「小さな死」を実行することは愚かで無駄なことに思えるかも知れません。しかし、と同時にみんなが一日に一回だけでもこの「小さい死」を実行することができれば、世の中が笑顔でいっぱいになるとも思うのです。

 礼拝:日曜日午前10時、午後2時 
 お問い合わせ:khs1126@gmail.com (310)339-9635


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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キム・ホンソン

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後、ケンタッキー州立大学の大学院に留学し、1999年からロサンゼルスのリトル東京サービスセンターでソーシャルワーカーとして働く。現在、性的マイノリティーをはじめすべての違いを持つ人々のための教会、聖霊の実ルーテル教会 (Torrance) と復活ルーテル教会日本語ミニストリー(OC, Huntington Beach)を兼牧中。

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