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コラム

旅は呼んでいる。
vol.57. 北海道 ~根室~

2021-08-27

 「JR花咲線に乗ってみたい」。取り立てて鉄っちゃん(鉄道愛好家)でもない父が、北海道の東にあるマイナーなローカル線に興味があるというので驚いた。何でも、今年ちょうど開通100周年を迎えること、人生のほとんどを北海道に住みながら一度も最東端を訪れたことがないからだという。
 

 えっ、1両編成なの?旅程は任せろというので下調べをせずに着いて行き、いざ車両を前にした感想である。これで釧路~根室間135kmをトコトコ2時間半もかけて走るのか…絶対退屈するに決まっている。と思いきや、ボタン式の旧型扇風機も含め、そこはかとなく漂う車内の昭和臭が堪らない。そして一番の目玉は、車窓から見える大自然。青々と広がる湿原、海岸線、タンチョウやアオサギなどの野鳥が飛び交い、或いは羽を休めているのだ。
 

 ちなみにこの花咲線、正式名称ではなく愛称であり、その由来となったのが根室近海で獲れる“花咲蟹”。道内でもなかなか食べられる機会がなく、希少なのでもちろん食べてみた。蟹の脚をごろんと入れた味噌汁“鉄砲汁”や、茹でた剥き身をのせた軍艦など一通り食べた中で、最も美味しかったのは蟹本来の濃い味と甘味が強く出ていた釜飯!大好きなサンマも旬のはずが、猛暑のせいか水揚げされておらず残念だった。
 

 花咲港は、サンマの水揚げ量が全国1位でも知られている。北方領土の一つ、択捉島を開拓して漁業を発展させた“高田屋嘉兵衛”が建立、215年の由緒ある金刀比羅神社では、なんとサンマのおみくじというユニークで可愛らしい名物も…。金色に輝く立派な御神輿や、風鈴が飾られチリンチリンと風情ある音色の聞ける、夏限定の小道も見どころ。
 
 北海道は手つかずの自然が数多く残っており、根室はその最たる場所かも知れない。帰路の花咲線からの眺めも楽しみにしていたら、エゾシカと衝突して運休に。「あら、仕方ないよね」。それも含めて大自然と思える道民だが、旅行者の方は念のためプランBを用意しておくことをおすすめする。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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加西来夏

職業:旅する映画ラヴァー。映画の聖地であり、年中カラっとした最高の気候…世界中を旅しているけど、やっぱりL.A.が大好きです。年間視聴映画100本以上、訪問39ヵ国~。好きな言葉は“世界は驚きと奇跡に満ちている”。ご意見はkasai.laika@gmail.comまで!




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