What’s Up, 神主さん?
第22回 神葬祭<2>
2021-08-27
長年パーキンソンを患っていた母が亡くなり、神葬祭に参列しました。神葬祭とは神道式のお葬式ですが、1つのイベントだけでなく、葬儀関連の一連のお祭りすべてを差す言葉です。「お祭り」と聞くと賑やかな御神輿や縁日をイメージされる方も多いと思いますが、「祭り」とは「祀る」が語源で、神様を「お祀りする」イベントのことですので、お葬式も「祭り」になります。この時期、「夏祭り」という言葉をよく耳にしますが、「祀る」なくして「祭り」はありません。
神道では、人が亡くなることを「帰幽〈きゆう〉する」と言います。そして、帰幽すると家族の守護神〈まもりがみ〉になると考えます。故人の魂は「御霊〈みたま〉」と呼びます。年に2回のお彼岸、夏のお盆の時期には御霊祭〈みたままつり〉を行い、御霊に感謝と敬意を伝え、安らかなることを願います。この習慣は仏教が伝来する前からあるもので、日本古来の習慣ですが呼び名がなかったために仏教用語の「お彼岸」「お盆」が定着しました。
亡くなった後の流れは以下になります。各お祭りは、喪がかかった家族が神主を務めることはできないので、親族以外の神主に依頼します。
帰幽奉告〈きゆうほうこく〉:神棚〈かみだな〉と御霊舎〈みたまや〉の前面に白い紙を貼り、氏神神社や崇敬している神社に亡くなったこと(帰幽)を奉告します。また、病気平癒〈へいゆ〉を祈願した神社があれば、代わりの人に参拝してもらうか、遙拝〈ゆうはい〉(遠くから拝礼)して祈願を解きます。
枕直しの儀〈まくらなおしのぎ〉:遺体を北枕になるよう部屋に安置して、顔を白布で覆います。守り刀を置き、灯明を灯し、案にお供え物を供えます。
納棺の儀〈のうかんのぎ〉:遺体を清め、新しい小袿〈こうちぎ〉を着せて棺に収めます。棺の後ろの壁には白の壁代〈かべしろ〉(または幕)を張り、棺を北枕(または上座)になるように置き、真榊〈まさかき〉、守り刀、灯明〈とうみょう〉、遺影、案などを配置し、お供え物を供えます。
墓所地鎮祭:新たにお墓を築く場合は、墓所の地鎮祭をします。ちなみに、墓石に刻む文字は「墓」という言葉は使わず、「奥津城〈おくつき〉」という言葉を使います。例:〇〇家累代之〈るいだいの〉奥津城
この後、通夜祭、遷霊祭と続きます。遷霊祭は一連の神葬祭の中でもとても重要で、最も神道らしいお祭りと言えるでしょう。通夜祭以降の神葬祭については次号でご紹介します。
神葬祭をご希望の方は当神社までご連絡ください。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

