来夏の映画観ようよ♪
vol.85 死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
2021-07-30
「アメリカは訴訟大国」という認識が結構昔からある。某ファーストフード店でコーヒーを購入し、こぼして火傷を負ったため裁判になったと聞いたことがあるからだ(後に、そう単純な話ではないと知ったが)。
1980年、心霊研究家のエド&ロレイン・ウォーレン夫妻はコネチカット州にあるグラツェル家にて、悪魔に取り憑かれ凶暴化した少年デヴィッドを救うべく、カトリック司祭と共に悪魔祓いを行った。儀式は無事成功し安心していたのだが、その数ヶ月後、デヴィッドの姉の婚約者アルネが豹変し、職場のオーナーを執拗に刺し殺害してしまう。実は、祓ったはずの悪魔は彼に乗り移っていたのだった―。
アメリカ史上初、自身の殺人の罪を悪魔のせいだと主張した“アルネ・シャイアン・ジョンソン裁判”がベースになっているそう。もし日本だったら問答無用で心神喪失となりそうだが、そこは宗教観、文化の違い。悪魔の存在を証明するのは可能かどうか、米国内においてもその手の議論に一石を投じるセンセーショナルな裁判だったことは想像が付く。とはいえ、物語はもちろん裁判がメインではない。
死霊館シリーズ前2作と比較すると、ポルターガイストや悪霊自体がおどろおどろしくて怖いというよりは、生身の人間による陰湿な黒魔術、オカルト要素が怖い。かつ、これまで数々の超常現象に遭遇し、乗り越えてきたウォーレン夫妻だからこその強い絆、夫婦愛があって素敵だなと思わせられる描写が際立ち少しホロリとするシーンも。
ちなみに、悪魔祓いで少女を救おうとしたが、逆に死なせてしまい少女の両親と司祭が訴えられた事件を基にした“エミリー・ローズ”という映画もある。
そういえば初めてのロサンゼルス滞在中、某ファーストフード店にて「この細かいお釣り、要らないよね(もらっておくわ)」と店員に当然のごとく言われて仰天した記憶がある。接客とは…?学生時代、同系列店でスマイル0円を提供していた自分にとっては、心底カルチャーショックだった。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

