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コラム

キム・ホンソンの三味一体
vol.154  五つのパンと二匹の魚

2021-07-30

 聖書の中に、イエスが五千人以上の大群衆を、ある少年が差し出した僅かパン5つと魚二匹で満腹にさせるという奇跡について書かれています。イエスは奇跡を起こす前に「この人たちに食べさせるには、どこでパンを買えばよいだろうか」と弟子のフィリポに問いかけて、彼を試みました。フィリポがどのような考え方をしているか、それを試み、知ろうとしたのです。するとフィリッポは「みんなが少しずつ食べるためには、今持ってるお金を全部使ってパンを買っても足りないでしょう」とごく普通に答えます。また、その時アンデレという弟子は一人の少年を連れて来て、「ここに大麦のパン五つと魚二匹とを持っている少年がいます。けれども、こんなに大勢の人では何の役にも立たないでしょう」と言いました。これもまた、常識的な、当然の判断です。この二人の弟子に共通していることがあります。「足りないでしょう」、「何の役にも立たないでしょう」と二人とも考え方が否定的です。彼らはごく常識的に考えて結果を断定しています。もちろん、常識も計算も必要で大事です。しかし、不可能に思えることでさえも、自分を超える力が働くことに希望を見出して挑戦することも大事です。そして、そのような人間の強い意志のあるところにこそ「奇跡」が起きるのではないでしょうか。

 ところで、弟子のフィリポやアンデレとは全く違う考えを持った人が、群衆の中に一人いました。ある少年です。自分が持っているパン五つと魚二匹が、空腹の人々のために役に立つかも知れないと思ってイエスのところに持って来たのです。その心には、足りない、何の役にも立たないという否定的な思いはありません。そして、イエスはその少年が持って来たわずかなもので大群衆を満腹させたと聖書には書かれています。どのようにしてそんな奇跡が行なえたのかは全く分かりません。少年の他にも実は食べ物を持っていた人々が群衆の中に少なからずいて、その少年が自分の食べ物を差し出すのを見て、恥ずかしくなってわれもわれもと食べ物を持って来た結果すべての人が満腹したのだと推測する人もいます。しかし、大事なのは、どうしてみんなが満腹できたのかではなく、少年の前向きで肯定的な思いに答える形でイエスが奇跡を行なった点ではないでしょうか。コロナ下の色々な制限の中、ともすれば理想を目指して行動を起こすことが困難に思える今日この頃、是非とも五つのパンの二匹の魚の少年から学びたいです。

 礼拝:毎週日曜日午前10時、午後2時  お問い合わせ:khs1126@gmail.com


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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キム・ホンソン

牧師、コラムニスト、元ソーシャルワーカー、日本人の奥さんと3人の子供達に励まされ頑張る父親。韓国ソウル生まれ。中学2年生の時に宣教師であった両親と共に来日。関西学院大学神学部卒業後、兵役のため帰国。その後、ケンタッキー州立大学の大学院に留学し、1999年からロサンゼルスのリトル東京サービスセンターでソーシャルワーカーとして働く。現在、性的マイノリティーをはじめすべての違いを持つ人々のための教会、聖霊の実ルーテル教会 (Torrance) と復活ルーテル教会日本語ミニストリー(OC, Huntington Beach)を兼牧中。

「このコラムへの感想や質問はこちらへ → khs1126@gmail.com
礼拝:日曜日午前10時(ハンティントンビーチ)、日曜日午後2時(トーランス)
お問い合わせ:携帯 (310) 339-9635」




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