What’s Up, 神主さん?
第17回 慰霊祭
2021-02-28
10年前の2011年3月11日(日本時間)、私たちは多くの命が失われたニュースに打ちひしがれました。
アメリカ出世稲荷神社は、毎年、この時期に慰霊祭を斎行して、震災で亡くなられた御霊(みたま)の安らかなることを願ってきました。
神道は日本人の文化・慣習の礎です。創始者もいなければ聖書のような教義もありません。自然の神々と亡くなられた方々に敬意と感謝を伝える生き方です。
東日本大震災では、沿岸部に暮らす漁師や農家、商店街の方々とその家族の多くが被災されました。漁師は船に神棚を設けて航海の安全と大漁を願い、農家は神々に豊作を願い、商人は神棚に商売繁盛を祈願する神札(おふだ)をお祀りしてきました。人々は自然の神々の存在を信じ、神道を大切にしてきました。そうした人々の御霊に祈りを捧げるセレモニーを執り行うのは、神々と人々を繋ぐ神主としてとても大切なことだと考えています。
アメリカ出世稲荷神社の本社は、東北とは離れた、神々の国、島根県に約800年以上鎮座している神社ではありますが、神々を、そして、亡くなられた方々を敬う心は同じです。出世稲荷神社の禰宜として、また分社であるアメリカ出世稲荷神社の宮司として、被災者の方々の御霊が安らかになることを願って慰霊のお祭りを今年もご奉仕させていただきます。リモートにてご参列できますよう、慰霊祭は当神社のYouTubeチャンネル「ShintoInari」にてライブ配信いたします。日本の伝統を受け継いだ慰霊の祈りを一緒に捧げていただければ幸いです。
2019年の慰霊祭より
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

