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コラム

ピアノの道
vol.59 心を形にする術

2021-06-18

 カリフォルニア州では6月15日(火)にコロナ感染予防のための規制がほぼ全て解除となりました。まだ細かい規制はあります。例えば屋内での演奏会は会場の大きさや席数などでワクチン接種済み又はコロナ陰性の書類証明が必要になったり前売り券のみの販売(当日券はなし)など。でも間違えなく希望に満ちた嬉しい時期です。

 久しぶりに友人らと再会を喜びあう会合は話しも盛り上がります。今日は10代の音楽学生だった頃からのピアニスト仲間と「ピアノ演奏は芸術か、再生か」と議論になりました。友人は「作曲家が創造した曲を忠実に再生するのが演奏だ」と言い、私は「楽譜は音楽ではない。レシピを料理にするシェフ、伝統を引き継ぐ工芸人、振り付けを体現する踊り手、そして戯曲を演じる役者が芸術家なのと同じに、演奏も芸術だ」と主張。

 そもそも芸術とは「心を形にする術」ではないでしょうか?そして「形にする」というのは、自分の中にある気持ちを他の人に伝えるため。その為には一番大事なのは「オリジナリティー」ではなく、「万国共通性」ではないでしょうか?作曲が演奏よりもより「創造的」だという考え方は、作曲家が前代未聞の旋律・和声・リズムを創り出しているという誤解から来ます。でも、作曲家も聴衆に伝わる「形」にするためにはそれまでの音楽の伝統公式から大きくは外れられないのです。それまでの音楽を無視して「オリジナリティ」のみを追求した音楽は、そういう意味では「芸術」ではない「理屈」です。

 「形にしたい心」は究極的には「好きだから分かりたい・分かってもらいたい」だと思うのです。そして芸術が「気持ちを形にする術」なら、絶妙な言い回し・何気に懐かしい風景画・踊りたくなる演奏だけが芸術ではない。ひと手間かけたお弁当、手書きの手紙、肩にかけた手だって芸術だと私は言いたい。そしてその心が人間性なのだ、と。

この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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