旅は呼んでいる。
vol.54 茨城県
2021-05-28
“47都道府県魅力度ランキング最下位”を7年連続で記録の茨城県。言うほどそんなに魅力がないのか…?
いや、日本三大花火大会のひとつ土浦全国花火競技大会がある!と同県へ行った。他に花火大会がない秋、10月に行われるのでありがたいイベントでもある。以前紹介した秋田県の大曲花火大会同様、車で大渋滞なのだが、違うのはいたるところで地元の子供たちが自宅の敷地であろう、「駐車場貸します××××円」とプラカードを掲げて楽しそうにしており、ローカル感がいいなあとほんわかした。ただ、有名な観光名所“袋田の滝”はアイスランドで荘厳すぎる滝をいくつも見た後だったので感動がなく、強いていうならそこに到着するまでの長いトンネルがSF映画に出てきそうな雰囲気で好きだった。
食に関しては「納豆の産地」程度の知識で、馬刺しやマグロのユッケを頼んだのに納豆まみれ、他のメニューも納豆天ぷら、納豆カレーと、やっぱりかと辟易したが、“古部茶屋”という居酒屋のアンコウ鍋は脂が乗りいい出汁が出て絶品だった。煮込む前の具材はプルンプルンとして一見グロテスクだが、出来上がった際にはこんなに美味しい食べ物だなんてと感動するはず!他にも県内産の常陸秋蕎麦や常陸牛もハズレなく、地酒、磯蔵酒造の稲里純米/熟成出荷もおすすめ。
また、某宇宙飛行士が宇宙から日本を見たらある場所が光って見え、どこかと調べたらここだった、と言われる日立市の“御岩神社”。ロマンがあっていいじゃないと訪れると樹齢500年、高さ50mの巨大な杉の木がそびえ立ち、確かに神聖な雰囲気だった。縄文時代からの信仰の痕跡もあるそう。件の話が都市伝説だったと後に知ったが、ハイキングコースもあり気持ちのいい場所なのは間違いない。
冒頭の47都道府県魅力度ランキング最下位、実は昨年その座を栃木県に明け渡した。栃木には餃子も鬼怒川温泉も紅葉の綺麗ないろは坂もある―そう、ランキングはあまりアテにしないで、気になるところへ行けばいい。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。