旅は呼んでいる。
vol.51 北海道 ~道央エリア~
2021-01-29
「キタキツネに会ったら、ルールルルルって呼べばいいんでしょ?」。北海道・富良野の大自然を舞台にした名作ドラマ“北の国から”でそういうシーンがあり、観光客にニコニコと尋ねられたことがある。
今時期、富良野を含めた道央エリア(区分けは諸説あり)はとかく寒い。キングペンギンの散歩ショーや生き生きしたホッキョクグマが観られる旭山動物園がある旭川市では、過去に-41℃を記録したほどだ。そしてすぐ近くには層雲峡温泉という温泉街があり、“氷爆まつり”が開催される。極寒を体感する耐久チャレンジに等しいものだが、カラフルにライトアップされた氷柱は大迫力かつ幻想的!震える体を温めるため、会場内に併設された氷のカウンターバーで大雪上川酒造や高砂酒造の地酒を飲めるのも楽しみの一つ。
また、敢えて冬に訪れたいのがJR北海道、根室本線にある“幾寅駅”。以前映画コラムで紹介した“鉄道員(ぽっぽや)”で、主演の高倉健が勤める“幌舞駅”として使われた駅舎がほぼ撮影時のままだ。映画のように列車が来る瞬間を待ち構えていたのだが、一向に来る気配がない。よくよく調べると、2016年起きた台風による被害のため、残念ながら未だ運休状態だそう。
要注意なのは、美瑛町にある“青い池”。Apple社のMacの壁紙に採用されて一躍有名になった鮮やかなブルーの絶景を期待して冬に行くと…真っ白。凍った池の上に雪が積もり、雪原と区別がつかなくなっているのだ。木々にうっすらと雪が積もり、なおかつ池の水が凍らない気象条件を目指して行くのは至難の業なので、素直に冬以外に行った方が良さそうだ。
かわいらしいキタキツネの件だが、道民は小さい頃から触らない、近づかないよう教育されている。彼らの多くが持つ“エキノコックス”という寄生虫が、肝機能障害を引き起こすからだ。ドライブしていれば80%くらいの確率で見られるので、一度車窓からルールルルルと呼びかけてみた。キツネは怪訝な顔をして去っていった。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

