キム・ホンソンの三味一体
vol.145 真実のリーダー・パートⅡ
2021-01-22
コロナの勢いが一向に衰える様子のないまま2021年という新しい年を迎えることとなりましたが、新しく選出された大統領のリーダーシップによって何かが変わるかもしれないとなんとなく期待しているところも正直あります。
司馬遷という中国の漢時代の歴史家が書いた史記の中に一つ興味深い話しがあります。紀元前450年頃、智伯(ちはく)という貴族に仕えていた豫譲(よじょう)という名の武士がいました。豫譲は、智伯に仕える前に二人の別の君主にも仕えましたが、その二人の君主は豫譲のことをあまりよく知ろうとしませんでした。しかし、智伯は、豫譲の才能を見抜き、彼のことを高く評価してくれました。だからこそ、豫譲は、智伯を心の底から信頼し、彼に忠実に仕えることが出来たのです。しかし、ある日、智伯は趙襄子(ちょうじょうし)の軍に攻められ滅ぼされました。その後、豫譲は山の中を逃げながら智伯のために命を賭けて復讐することを誓います。
最初に豫譲は、左官の姿をして、趙襄子の館に潜入し、暗殺の機会をうかがうのですが、挙動不審なのを怪しまれ捕まってしまいます。しかし、なんと趙襄子は「智伯が滅んだというのに一人で仇を討とうとするのは立派である」と、豫譲の忠誠心を誉め称えて釈放します。しかし、その後も、豫譲は諦めずに再び趙襄子を狙うけれども趙襄子を斬ることはできず「士は己を知る者の為に死す」とう言葉を残し自決します。
自分のことを高く買ってくれて信頼してくれたリーダーのために命をかけてまで忠誠したい気持ちは、アジア的な文化を共有する人々にとっては何となく理解できるところがあります。しかし、聖書が伝える人類の救い主のリーダーシップは桁外れだとしか言いようのないものがあります。キリストは、人々のことを誰よりもよく理解し、人々を喜び、人々の痛みに共感しただけに留まらす、人々のために自らの命を犠牲にしてくれました。
この度選ばれた大統領にあまり多くのことを求めるのは無理でしょう。しかし、せめて自分の利益のために嘘を言ったり、自分の保身のために人々を仲違いさせるようなことはせず、ただ心から人々のために奉仕する大統領となって欲しいと思う今日この頃です。
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※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

